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宇宙のかけら

宇宙のかけら
  • 2010年03月24日中牟田宴子
  • 著:竹内 薫  イラスト:片岡まみこ
    発行:講談社
    ISBN:978-4062152037  定価:1,429円(税別)
    発行年:2008年12月23日
  • 書評:中牟田宴子

親子で宇宙に思いを馳せる時間

みなさんは、自分たちがどこから来て、どこへ行くのか、考えてみたことがありますか?
命あるものはいつかは死を迎えます。私たちは何のために生きているのでしょう?

今回はブックナビでも書評を書かれている、科学作家、竹内薫さんの著書「宇宙のかけら」をご紹介します。竹内薫さんの著書は大人向けのものが多いのですが、この「宇宙のかけら」は小さな子どもから大人までが楽しめる科学絵本です。やわらかな言葉から紡ぎだされる情景は、これが科学の本だということを忘れさせてしまいます。でもこの本は、ただ耳触りのいい情緒的な絵本ではないのです。時折のぞき見える科学用語や論理的な話が「あぁこれは科学の本だったんだ」と気付かせてくれます。

昨年、息子たちと出かけたサンフランシスコの科学館で、たくさんの科学絵本に出会いました。どれも色合いが美しく、大人でも子どもでも思わず手にとりたくなります。開いてみると、絵本からはたくさんの「不思議」が伝わってきます。私が手に取った「飛び出す絵本」の中には、水の分子モデルがかわいらしく描いてあって、子どもたちが目を輝かせて開いているこの絵本の先は、しっかりと科学につながっているのだなと感じました。

日本ではあまり科学絵本に出会う機会がなく残念に思っていましたが、「宇宙のかけら」に出会った時には同じような感動と驚きがありました。ただやわらかく情緒的なだけではない、本物の科学絵本にやっと出会えたと嬉しくなりました。先日、知り合いのお母さんが、2歳の子どもを膝にのせて「宇宙のかけら」を朗読していました。絵本の中で、宇宙が大好きなカオル少年と、年老いた猫のカロアが宇宙について話をします。生まれたばかりの宇宙が「量子」と呼ばれていたことも、カオルとカロアの会話でつづられると、すんなりと受け入れることができます。ビッグバンの話、ブラックホールの話、そして私たちはどこからきてどこへ行くのか。朗読を聞きながら、パステル調のかわいらしいイラストにひかれて、私も思わず絵本をのぞきこんでしまいました。

年老いて天国へ召されていくカロアが、カオルと共に「なぜ、わたしたちは生きているの?」という問いに対して見つけた答えは何だったのでしょう。

親子で、星のかけらからつくられた自分たち自身のことを思い、自分たちが生きる宇宙に思いを馳せる、そんな時間も素敵ですよね。

文 中牟田宴子
九州大学文学部心理学専攻卒業。小6と小4の男の子の母。数学と科学を組み合わせた学習教室を企画・運営しながら、NPO法人センス・オブ・ワンダー代表理事として、日本では珍しいジュニアサイエンスカフェの継続的な開催や、小学生の親子向け科学のイベントの企画なども行う。『かがくナビ』では、子どもたちと日常の中で発見した科学をつづるブログ『家庭で育てる科学の芽』を執筆。

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