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星つむぎの歌

星つむぎの歌
  • 2009年11月25日高橋真理子
  • 著者:覚 和歌子 イラスト:大野 舞
    発行:響文社 ISBN:978-4877990626
    定価:1,800円(税別)
    発行年:2009年4月25日
  • 書評:高橋真理子

星つむぎの歌から生まれた絵本

2009年も終わりに近づいてきました。今年は世界天文年!ということを、いったいどれだけの人が知っていたかなあ・・気になるところです。「世界中の人々が星を見上げ、宇宙の中の地球や人間の存在に思いを馳せ、自分なり発見をする」という願いをもった世界天文年。全国のあちこちで関連企画が行われていましたが、一つ私のお勧めサイトは「宙読み(ソラヨミ)書房」という、星や宇宙に関連した本を紹介するサイト。
http://www.astronomy2009.jp/ja/bookfair/index.html
「本棚」のページにいくと、本屋さんにいって本を選べるような感覚になれるのがとてもいいなあ、と感じています。ここで紹介されている本は、「世界天文年公認」マークのついた本たちです。今回ご紹介の本は、あまり「かがく」の匂いがしないかもしれないけれど、世界天文年の願いにはとても近しく、そして、上記サイトの本棚にも収まっている本です。

「星つむぎの歌」は、山梨県立科学館などが中心になり「みんなで星を見上げ、その想いをつむいで共に歌をつくろう」と呼びかけではじまったプロジェクト。歌のフレーズを一行ずつ、月の満ち欠けごとに選定・公募してつないでゆく・・それを半年繰り返してできあがりました。その詞の選定・補作をしたのが、山梨県出身の詩人・作詞家、覚和歌子さん。作曲は財津和夫さん、歌っているのは、歌手の平原綾香さんです。延べ2690に及ぶ、全国から世代を超えて集まった言葉とそれに添えられたコメントは、「星が教えてくれる大切なこと」にあらためて気づかせてくれたものばかりでした。選ばれた言葉はわずかでも、この歌に隠された大勢の人たちの想いがあるからこそ、この歌は、なんだかとても不思議な力をもっています。甲府の中学校出身の宇宙飛行士、土井隆雄さんへの応援歌としての位置づけもあり、スペースシャトルの宇宙飛行士たちを起こすための“ウェイクアップコール”として流れ、宇宙にも届いた歌となりました。

そんな歌から一つの物語が誕生しました。星と星を結んで、そこに神話が誕生したのと同じように・・。この物語は、星つむぎの歌が発表されるのと同時に、山梨県立科学館で投影されたプラネタリウム番組を、絵本化したものです。覚和歌子さんご本人による朗読に、丸尾めぐみさんの素晴らしい音楽がつき、最後に平原綾香さんの歌う「星つむぎの歌」がはいったCDがついています。覚さんの言葉は、目で読むより、彼女の体を通して聞くと、ますます胸にしみてくるのです。この絵本に出逢ったある特別支援学校の先生は、この物語を劇にし、「宇宙・いのち・自分」というつながりを見事に子ども達と一体化しながら表現しました。

「星をみあげること」。 これは、自分を見つめなおすこと、そしていのちについて考えること。
「星つむぎの歌」やこの物語は、企画者である私たちの意図をはるかに超えて、大きな力を持ちながら星をみあげることの大切さを思い出させ、そして、人と人、人と宇宙をつなぎ続けています。少し手前味噌な紹介ですが、ぜひこの物語を胸に、今一度星を見上げてほしいな、と思っています。

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文 高橋真理子
山梨県立科学館天文担当学芸員。北海道大学在学中には、北海道をはじめ全国を自転車でめぐる。名古屋大学理学研究科では、オーロラの研究に取り組む。1997年、山梨県立科学館建設準備室に入り、翌年の開館時より現在の仕事にたずさわる。プラネタリウムにおける解説、番組プロデュース、特別展を含むさまざまな事業の企画・運営を行う。「つなぐ」「つたえる」「つくる」が仕事のキーワード。星の力で、いろいろな分野や人をつなぐことが一番の喜び。小4の男の子、4歳の女の子と共ににぎやかな(さわがしい)毎日を過ごす。

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