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遊遊さかな事典

遊遊さかな事典
  • 2010年02月24日高田浩二
  • 著:小西英人 発行:エンターブレイン
    ISBN:978-4047261761  定価:1,700円(税別)
    発行年:2009年11月20日
  • 書評:高田浩二

釣り魚との長い人生を語る

私の仕事は水族館の館長です。この業界には、最初は魚の飼育係として就職し、27年余り彼らのお世話をした経験から、今の役割を務めることになりました。合わせると、水族館の魚たちとはもう34年もの付き合いが続き、長い長い水族館人生です。

こんな経歴をもっていると、皆さんから「お魚を食べますか?」「釣りはしますか?」とよく聞かれます。魚料理は大好きなので、旅をすると各地の名産や名物をいただくことに心がけ、魚市場や魚屋さん、スーパーの鮮魚売り場にもできるだけ立ち寄ります。ところが、大変に残念ながら、釣りだけはあまり経験がないのです。もちろん子どもの頃は、父親に連れられて、近くの川や海で糸を垂れた記憶はあります。仕事柄、釣り採集もしました。しかし、これが趣味になるほど、仕事になるほど、人生として語れるほど、私には大きな存在にはなりませんでした。

さて今回は、それがなぜであるかをお話しするのではなく、魚釣りが正に人生そのものになってしまった、すごい人を紹介したいのです。その方は「小西英人さん」。釣りをされる方、またちょっと魚に詳しい方なら、きっとお聞き覚えがあるお名前でしょう。小西さんが、著名な釣り師を父にもつ家に生まれたことも大きな影響でしょうが、親子鷹よろしく子どもの頃からご家族で、世界を股に釣り三昧の日々を送られてきました。しかも、釣り関係の出版社まで運営し、単なる読み物だけでなく、魚類図鑑などの専門書などもご自身で執筆して次々に発刊されるなど、小西さんは“釣りの文化伝道師”でもあるのです。

私とのお付き合いも古いので、小西さんの著書をこれまで何冊も拝見してきましたが、この“遊遊さかな事典”は、これまでの概念を打ち破る、どこにもなかった、釣り魚事典に仕上がっていることに驚きました。なぜなら、そこには、小西さんがこれまでに出会った、たくさんの魚たちや釣り仲間たちと、共に格闘してきたすごいエピソードが満載されていたからです。ページをめくると一種ごとに、あたかも釣り場からの生中継のような、臨場感あふれる口調でドラマが次々に展開します。しかも、これは“事典”なのですから、親切に魚の基本知識や専門用語解説も収められていて、小西さんの人としての優しさや生き様があふれる“釣り人生録”のような一冊なのです。

ポケットサイズに製本されているので、釣り場に向かう道中に持参し、小西さんの楽しいお話から、これから出会う魚たちとの格闘イメージを膨らませておくのもいいでしょう。また水族館での観察にもまた違った見方ができ、重宝するかもしれません。もちろん、私の愛読書として本棚に並ぶ一冊にもなりました。

高田浩二
1953年、大分生まれ。東海大学海洋学部卒業後、大分生態水族館(マリーンパレス)入社。1988年、海の中道海洋生態科学館に入社、2004 年に同館長に就任。水族館と学校との連携による教育プログラムの開発、実施に力を入れる。日本動物園水族館教育研究会会長、福岡教育大学非常勤講師、福岡大学非常勤講師、九州産業大学非常勤講師などを務める。

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