かがくナビ

  • 初めての方
  • 文字サイズ
  • 大
  • 中
  • 小
  • home
  • 科学ニュース
  • 自然だより
  • 特派員レポート
  • 科学ムービー
  • ブックナビ
  • ナビコラム
  • 特集
  • ブログ
  • ナビのひろば

ブックナビ

ディスクリプション

宇宙からきた72秒のシグナル

宇宙からきた72秒のシグナル
  • 2010年02月10日高橋真理子
  • 著:鳴沢真也 発行:KKベストセラーズ
    ISBN:978-4584132104  定価:1500円(税別)
    発行年:2009年12月16日
  • 書評:高橋真理子

「宇宙人探し」の本当の理由

夜空にちらばるたくさんの星、その間の暗闇にはいったい何が隠されているのでしょう。
私たちの目だけでは見えない無数の星、星雲・星団、銀河・・そして、宇宙人?
さまざまな望遠鏡や人工衛星を使って、現在の天文学は、私たちのいる宇宙が137億光年も広がっているということを教えてくれます。私たちのいる銀河系の中だけでも数千億の星、宇宙の中には、それに似たような銀河がさらに数千億・・。これだけたくさんの星があれば、私たちの地球と似たような星があったり、あるいは宇宙人がいたりしても、当然・・という気もしますよね。

「宇宙人はほんとうにいるんですか?」という質問は、宇宙や星に関連する講演会などでもっとも多く聞かれる質問の一つかと思います。これは、人類の長い歴史の中の、未だに解決できない疑問の一つでもありますよね。その疑問に、科学の手法で挑んでいるのが、著者の鳴沢真也さんです。鳴沢さんの前著「137億光年のヒトミ」(そうえん社)にも描かれているように、彼は、小さいころからずっと天文や宇宙に魅せられ、夢を追いながら、兵庫県にある西はりま天文台で、星の魅力を多くの人々に伝え、地球外知的生命探査SETIに取り組んでいます。

世界天文年である2009年、鳴沢さんは全国の天文台関係者に呼びかけ、「全国同時SETI観測」を行いました。26箇所に及ぶ施設の望遠鏡が、一斉に同じ方向に向けて目を凝らす。その望遠鏡とともに息をのみながら観測を続ける人々の様子を思い浮かべるだけで、胸に熱いものがこみあげてきます。しかし、このような同時観測がおこなわれるまでには、楽しいことだけではない多くの人間ドラマがあったことを彼は語ります。ともすると、エセ科学と間違われやすい「宇宙人探し」。話題がセンセーショナルである分、鳴沢さんやその同志の方たちが目指すものの本質が間違って捉えられてしまいやすいのです。
そんな困難があるからこそ、再び夢に立ち返り、そして夢に向かう。この本は、鳴沢さん自身の生き方そのものを伝えてくれています。

宇宙人を探すことは、それはイコール、宇宙人の視点から地球を見ることだ、と鳴沢さんはおっしゃいます。「自分はこの宇宙の中で特別な存在なのかどうなのか」、つまり「自分はなにものか」と。この問いは、地球に生きる私たち一人ひとりが生きていく上で、必ずぶつかっていく問題であり、この社会や地球の未来を考えるきっかけを与えてくれるはずです。
星を見上げ、そこに何かを探ることは、よりよく生きたいと願う人々の無意識のうちの行動なのかもしれません。

文 高橋真理子
山梨県立科学館天文担当学芸員。北海道大学在学中には、北海道をはじめ全国を自転車でめぐる。名古屋大学理学研究科では、オーロラの研究に取り組む。1997年、山梨県立科学館建設準備室に入り、翌年の開館時より現在の仕事にたずさわる。プラネタリウムにおける解説、番組プロデュース、特別展を含むさまざまな事業の企画・運営を行う。「つなぐ」「つたえる」「つくる」が仕事のキーワード。星の力で、いろいろな分野や人をつなぐことが一番の喜び。小4の男の子、4歳の女の子と共ににぎやかな(さわがしい)毎日を過ごす。

過去の記事一覧