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実験ナビ

空飛ぶロボットを作ります!~主翼のひみつを探ろう

2009年09月09日    かがくナビ取材チーム


もしもみなさんが、何もないところから飛行ロボット を設計し、製作することになったらどうしますか?
思い通りに飛ぶ飛行ロボット を作るには、どのように設計したらいいのでしょう?
軽い飛行ロボット を作るには、どのような素材を選べばいいのでしょう?

「第5回 全日本学生室内飛行ロボット コンテスト」に出場を予定しているお兄さん、お姉さんたちは、このような疑問をすべて自分たちで考えたり調べたりして一歩ずつ目 標へ向かっています。そして自分たちらしい方法で様々な工夫をしながら、個性ある飛行ロボット を製作しています。
中でも、それぞれの特徴(とくちょう)が一番よく表れていたのが「主翼(しゅよく)」でした。
今回は、飛行ロボット が飛ぶための揚力 :ようりょく)と速度にも大きな関係がある「主翼(しゅよく)」に注目 してご紹介します。

【目 次】
第1回 夏休みの自由研究と飛行ロボット 作り
第2回 主翼のひみつを探ってみよう
第3回 飛行ロボット を試してみよう
第4回 ついに本番!


「あめんぼ」の主翼 中サイズ

「あめんぼ」製作チーム~すぐそこにある、お金のかからない素材を発見!

第1回でご紹介したように、「あめんぼ」の主翼にはとても身近なあるものが利用されています。さて、なんだと思いますか?
答えは、スーパーでもらえる袋です。レジ袋ではなく、一つずつ肉や野菜を入れるときに使う、あの半透明で小さなビニールの袋なのです。それをアイロンで して張りを出し、木工用ボンドで接着しているのだそうです。「これが、あの袋なの!?」と思うような、とても軽くて美しい翼として生まれ変わっていました。
最初は、ラジコンなどで使う素材や和紙なども試してみたそうです。さらに軽くできないだろうかと考えたときに見つけたのがこの素材だったとか。軽いだけでなく、お金 もかかりません。
日頃から身の回りにあるいろいろなものに興味を持っておくと、自由研究などで何かを作ろうと 考えた時に、そこからすばらしいアイデアが生まれるかもしれませんよ。


主翼小サイズ(奥)と大サイズ(手前)

ところで主翼の大きさはどのように決めたのでしょうか?
形が同じ場合、主翼の面積を大きくすると、飛ぶ速度は遅くなることが分かっています。「あめんぼ」製作チームのメンバーは異なる3つの大きさの主翼を製作して、その面積と飛行ロボット の進む速さ の関係を調べていました。このコンテストでは、救援物資に見立てたお手玉を決められた場所に落とすというミッションを果たさなければなりませんでしたね。スピードが速すぎると、お手玉を落とすときに、コントロールが難しくなります。遅すぎると、お手玉を落とす時間や、機体を宙返りさせてボーナスポイントをかせぐ時間が足りなくなってしまうかもしれません。これらのことを考え併(あわ)せて3つの大きさの主翼について調べたところ、真ん中の大きさの主翼を使うと一番ふさわしい速さ になることが分かりました。

「計算だけでは、どれが一番良いかは分からないものなのですか?」と製作チームのメンバーに聞いてみると「実際に作ってみないと分からないこともあります」と答えてくれました。頭で考えるだけではなく、手を動かして試してみることも大切なのですね。


和紙を使用している「丁カラス」の主翼

「丁カラス」製作チーム~基本を理解したら、冒険してみよう!

はばたく鳥のような形の主翼を持つ「丁カラス」。主翼に使われている素材を見てみましょう。上下にはばたく羽根 の部分は白い和紙が使われています。なぜ和紙という素材を選んだのでしょうか?
「丁カラス」製作チームのメンバーに聞いてみたところ、「フィルムと和紙の二つの素材が候補(こうほ)にあがりました。フィルムは和紙よりも丈夫なのが良いところですが、ノリを付けたり、しわをとる場合には手間がかかります。一方和紙の場合、木で組んだ枠にノリを塗ってかぶせるだけで接着することができます。
また、たるんでしまった場合でも霧 吹(きりふ)きで一度湿らせて乾かせば、自然に張りがでるので簡単です。」と答えてくれました。
一つの素材に決めつけず、いくつか候補をあげて、それぞれの良いところと悪いところの両面を考えながら一番ふさわしいものを選んでいることが分かりました。


「丁カラス」のはばたきのひみつはここにあった

「丁カラス」はどのような仕組みではばたくのでしょうか?
まず「丁カラス」の電源を入れてみましょう。すると電池エネルギー によってモーター が回転運動(かいてんうんどう)を始めます。でも主翼は回転運動ではなく、上下にはばたく運動をしていましたよね?ということは、モーター の回転運動はどこかで往復運動(おうふくうんどう)に変換されているはずです。ここで鍵(かぎ)となるのが「クランク」と呼ばれる装置。「丁カラス」の機体(きたい)の中ではローマ字の“S”の形に似たクランクが使われていました。そしてこ のクランクに取り付けられた竹ひごの先端は、白い羽根 の付け根 から伸びた針金 につながれています。つながれた針金 が往復運動をすることで白い羽根 をはばたかせるのです。


フグ型ロボットを上から見たところ

そういえば、第1回「夏休みの自由研究と飛行ロボット づくり」の中で、製作中の現場に一緒におじゃましたあきら君が、フグ型のロボット を持っていったのを覚えていますか?あのロボット にもクランクは使われていますよ。右の図を見てください。モーター の回転運動がクランクで往復運動に変換され、クランクにつながれたヒレは左右の運動をします。


「すーぱーぽんぽん号」主翼の裏側

「すーぱーぽんぽん号」製作チーム~とにかく基本が大事!

すーぱーぽんぽん号の主翼を裏返してみましょう。バルサと呼ばれる軽い木材でしっかりと骨 組みが作られ、その上にラジコン用のフィルムが貼り付けられています。


「すーぱーぽんぽん号」の主翼

「すーぱーぽんぽん号」製作チームのメンバーは「今回は基本的な形の一つを参考に設計をしました。材料もよく売られているラジコン用のフィルムを使っています」と説明してくれました。この製作チームはコンテストに初出場です。最初から、変わった形や珍しいしくみの飛行ロボット に挑戦するのではなく、まずは確実に飛ばすことができる飛行ロボット の作り方を大切にしているのです。基本のしくみをしっかり理解することが、次のチャレンジにつながるのかもしれません。

東京大学工学部からコンテストに出場する3つの製作チームのメンバーたちは、始めから思い通りの飛行ロボット を作ることができたわけではありません。自分が最初に考えた理想の飛行ロボット に近づくために、いろいろな方法を試していることが分かりました。
思い通りにならず大変そうに見えますが、そのぶんうまくいったときの喜びも大きいのではないでしょうか。

次回は、飛行ロボット を体育館で飛ばしてテストしている様子をお伝えします。