科学ドキュメント

サイエンスキャンプで育む好奇心と友情

2005年10月01日    島田健弘


高校生や高等専門学校生に科学の面白さを体験してもらおうという、先進的科学技術体験合宿プログラム「サイエンスキャンプ2005」が、夏休み期間中の7月 下旬から8月 上旬にかけて、全国25ヵ所の会場で行われました。


学校では体験できない日本の最先端技術

1995年からはじまったサイエンスキャンプは、全国の高校生や高等専門学校生を対象とした合宿で、6~30人規模で3~4日間かけて行われます。

国立科学博物館や宇宙 航空研究開発機構(JAXA)の筑 宇宙 センター、航空宇宙 技術研究センター、農業工学研究所、日本原子 力 研究所など、全国26の公的研究機関の会場が合宿所となります。これらの会場で、それぞれの研究機関の特徴を生かした、実習・実験を主体とする科学技術体験学習や研究者・技術者との対話を行い、最先端科学技術に直に触れることで、科学の面白さや自分で調べることの大切さを学んでもらおうというプログラムです。

科学の最先端技術を体験するめったにない機会とあって、多くの生徒たちから募集がありました。


2004年の感想

2004年のサイエンスキャンプには184人の参加者が集まりました。感想の一部を抜粋して紹介します。

『ひやひやしたフライトシミュレーター』宇宙 航空研究開発機構 航空宇宙 技術研究センター
今回体験したフライトシミュレーターは、すごくリアルだった。順番待ちをしている間、着陸の際の軽い衝撃や、機体の揺れなどが伝わってきて鳥肌が立った。自分の順番が回ってきて、とりあえず重いハンドルを握り必死で飛んでみたが、なにをどうすればいいのかわからない。終始慌てたまま、着陸の際には「そろそろブレーキをかけてください」と言われ、ブレーキのかけ方が頭から吹き飛んでいた私はぎりぎり直前で思い出して空港滑走路の一番端に、やっとのことで着陸できた。「ぎりぎりでしたねえ」と補助の方はにこりと笑った。ひやひやしたフライトシミュレーター体験だったがとても貴重で、面白い体験だった。
(私立桐朋女子高等学校 1年生)

『牛の赤ちゃん』生物系特定産業技術研究機構 畜産草地研究所
一番楽しかったのは、搾乳でした。牛を触るのははじめてで、牛の肌はこんなに暖かいものなのだと驚きました。搾乳の時もイメージと違い、厚くて硬い皮膚 かなと想像 していたら、思っていたよりも薄くて袋のようなものでした。次に牛のお腹にいる赤ちゃんを診たことは、私にとって貴重な体験でした。体験や学んだ事以外に参加できて良かったことは、いろいろな人に会って話をすることができたことです。話してみて自分がどれだけ狭い所で生活していたかわかりました。このサイエンスキャンプは、将来の自分にとても役に立つことだと思います。
(東京都立新島高等学校 3年生)

『音速を超えて! 衝撃波 を体験』宇宙 航空研究開発機構 角田宇宙 推進技術センター
施設見学では、音速を超える風を流す風洞で「超音速風洞実験」を体験しました。実験時には隣の部屋にいても耳 をふさがなければならないほどの轟音が響き渡り、超音速の音のすさまじさを体で感じました。音速を超えなければ見ることができない衝撃波 まで見られたときには感動しました。この体験でエンジンの研究というものがより具体的になり、将来エンジンの研究をやりたいという気持ちが強まっただけでなく、目 指したい研究者の姿も見つけることができました。
(千葉 県立木更津高等学校 2年生)

※これらはサイエンスキャンプ2005参加者募集時にHPに掲載された感想をリライトしたものです(http://ppd.jsf.or.jp/camp/2005/kanso/index.html)。


全国の仲間と出会える喜び

これらの感想にもあるように、普通ははなかなかできない体験を一流のスタッフとともに味わえるのがサイエンスキャンプの魅力 ですが、もうひとつ大きな魅力 があります。それは全国の新しい仲間と出会えることです。科学に興味を持っている同年代の仲間と出会い、夜を徹して語り明かす。そんな体験が将来に役立つ時がく るかもしれません。

サイエンスキャンプ2005には、全国で329人が参加しました。今後も全国で行われる、サイエンスキャンプが、生徒たちの夏休みの貴重な体験となっていくことが大きな目 的です。

<引用元>
『Science&Technology Journal』2005年10月 号4~5ページ
「サイエンスキャンプ2005 全国25会場で開催」

<原著者>
S&Tジャーナル編集部