野生のハムスターってどんな生き物?
2002年09月01日 子川智
ハムスターはとても身近なペットです。そんなハムスターの飼い方を少し工夫すれば、家庭のなかでも半野生生活を観察することができるのです。野生のハムスターはどんな行動をとるのでしょうか。

自然を再現した飼育法
ハムスターという動物は、本来、自ら排泄物を管理する動物です。この性質を利用し、自然の環境を再現する飼育を行えば、水
分とエサを与えるだけで3か月
以上、巣の掃除をしなくても臭うことはありません。特に病気になることもなく、むしろ毛づやが良くなり、体も大きくなります。奇妙に聞こえるかもしれませんが、自然の野山では、動物の糞
などが何もしなくてもきれいに掃除されることを考えると、それほど不思議なことではないのです。野山の掃除は大地の生態系
が行っているのです。
これから紹介する飼育法は、分解者
(大地)の生態系
を飼育器内に再現する方法です。掃除をしなくても臭うことがないので、簡便に、たくさんのハムスターを飼育できます。また、アリ飼育器のように、暮らし方を観察できるので楽しいはずです。ハムスターの身体の形態が土中生活に合っていることも観察できます。さらに大地の働きを実感することもできるでしょう。

飼育器の作り方
大地の代わりとなる飼育器は、誰でもすぐに作れます。用意するものは、
1.大小水
槽(透明の容器ならなんでもよい)
2.細粒赤玉土、ピートモス
3.水
飲み
4.目
の小さい焼き肉網
5.コードフック
、アルミ線(太)
です。
作り方はいたって簡単です。
1.大きい水
槽の中に、隙間が5センチメートルくらいになるように小水
槽を伏せて入れる。
2.洗面器等で赤玉土とピートモスを半々に混ぜる。この時5ミリメートルくらいに切った麻糸を混入すると落盤しにくくなる。
3.土の半量強の水
を入れる。強く握っても水
がたれないくらいが適当(50~60%)。水
分がないと巣がこわれたり臭くなったりする。
4.水
槽に3で作った土を入れる。最初は押さず、軽く入れる。水
槽に八分目
程度入れたら表面だけ押し固める。
5.水
槽に合わせた大きさの網を、園芸用の太アルミ線とコードフック
で止める。網の端は曲げたほうがよい。
6.最後にかじり木(ワリバシ)と固形飼料を入れ、ハムスターを入れて網でフタをする。
こうしてしばらくすると、ハムスターの遺伝子
に残された土を掘る習性にスイッチが入り、土を掘り始めるはずです。
なぜハムスターはこんな行動をとるのか
ハムスターのなかでも特にゴールデンハムスターは、野生種が絶滅
した種です。70年以上、誰かに飼われてケージ内で生活してきたため、土中生活も、排泄物やエサの管理方法も、イナゴがエサであることも知らないまま数世代を過ごしてきました。このような野生を知らないハムスターの、土やイナゴによって呼び起こされる一連の行動は、「遺伝子
に記録されていた行動」と考えられます。その行動を家庭で観察するのはなかなかおもしろいはずです。
そして排泄物も管理しはじめます。排泄物を管理することには2つの意味があります。まず第一に、もし排泄物を管理せず、それが臭うようなことがあれば、すぐ天敵
に見つかってしまい食べられてしまいます。もう1つは、盲腸共生
菌を体外でも利用し、消臭や、未消化
・未利用有機物
の有効利用をしていることです。このようなことまで、ハムスターの遺伝子
には記録されているのです。
飼育のコツは、土が乾かないよう水
分をスプレー等で補給すること。また、ワリバシの一端を土中に刺しておくと、ワリバシの湿り具合が土中水
分の目
安となるので便利です。3か月
くらいで土を取り替え、廃土は花を育てるための土に使うといいでしょう。
イナゴを与える実験をしてみてもいいかもしれません。素早い動きのイナゴを捕食する行動は、普段のハムスターからは想像
できないものですから。
<引用元>
『Science & Technology Journal』2002年9月
号38~39ページ
「おもしろ実験工房 ハムスターでほ乳類の半野生生活を教室に持ち込もう!」
<原著者>
サイエンスレンジャー 鹿野秀司





