科学ドキュメント

暖冬で桜の開花が遅くなる?!

2007年02月19日    宮田新作


暖かければそれだけ花も早く咲くんじゃない? という気がするけれど、じつは暖冬の年、桜の開花は遅くなるといわれています。それはどうして?

日本の桜

そろそろ桜が咲いたとのニュースが入ってきています。日本人がこよなく愛する桜の便りは、寒かった冬が終わり、春が訪れたことを知らせてくれます。本州や九州・四国で最も一般的な桜は「ソメイヨシノ」です。奈良県吉野は桜の名所であり、古くは吉野といえば桜の代名詞でした。この吉野の名をもつソメイヨシノは江戸時代に人工的に作られた品種です。江戸染井村(現在の東京都豊島区)の植木職人が、在来の桜2種を掛け合わせて新しい品種を作りました。そして、 が出る前に薄いピンク色の花が咲き誇るこの美しい桜を「染井吉野」と名づけ、後に、これが日本中に広がっていくことになりました。いまでは桜といえばソメイヨシノというくらいになりました。


冬に寒くならないと桜は困る!

では、「桜の開花」とはどのように決められるのでしょうか? また、満開とはどんな状態なのでしょうか?

全国各地の気象台や測候所では基準となる桜の木(標本木)を決めており、その標本木が5~6輪咲くと「開花」宣言となり、8割以上咲くと「満開」宣言となります。東京では、靖国神社内にあるソメイヨシノが標準木です。

ここで問題です! 春に咲く桜、この花のもと(花芽〔かが〕といいます)はいつごろできるのでしょうか? 咲く少し前でしょうか、それとも前の年でしょうか。

答えは、前年の夏ごろです。つまり、春に咲いた後すぐに来年の準備をして、休眠 状態に入ります。そして、春の開花の少し前に目 覚めるのです。

このとき、休眠 を中止するきっかけとなるのが冬の寒さ。おおむね平均気温 5℃以下の状態に数日間さらされると、桜の花芽は休眠 から目 覚め、成熟を開始します。これを「春化」といいます。その後、花芽が成熟するためには暖かい温度が必要で、2~3月 ころの気温 上昇がたいせつです。しかし、12~1月 の本来は寒い時期に気温 が下がらなければ、春化が遅れ、結果的に開花も遅れることになります。桜にとっては寒さも必要なのです!

暖冬の年は桜の開花が遅れるとされることの裏側ではこうしたしくみがあったのです。さて、暖冬傾向だった今年、桜の開花はどうなるでしょうか?