科学ドキュメント

超小型センサーで大動脈瘤を監視

2007年03月12日    橘悠紀(科学ライター)


体の中で超小型ロボット が病気を治療してくれる。それは、昔から考えられている夢ですが、このほど、超小型のセンサーを利用する、病気の監視システムが開発されました。


大動脈のこぶに入れられるセンサー。写真提供:大木隆生(東京慈恵会医科大学)

大動脈瘤の破裂を防ぐには…

心臓 からは、血管 を通って全身に血液 が送られています。体内の血管 のうち、心臓 の左心室 から出る太い血管 を大動脈 と言います。その大動脈 の一部が、さまざまな原因でふくらみ、こぶのようになる病気が大動脈 瘤で、こぶが破裂すると大量の血液 が流出し、生命にかかわります。
大動脈 瘤の治療法のひとつとして、ステントと呼ばれる筒状の器具をこぶに入れ、その中を血液 が通るようにして、こぶがそれ以上ふくらまないようにする方法があります。ところが、ステントから血液 が漏れると、こぶがふくらんでしまうため、患者は定期的に病院に行き、CT(コンピュータ 断層 撮影)で検査を受ける必要があります。


自宅で簡単にできる検査。イラスト作成:渡辺潔

画期的な新システムを開発

東京慈恵会医科大学の大木隆生教授らは、こうした不便を解消する新しいシステムを開発しました。
それは、長さ15mm、幅3mm、厚さ1mmというごく小さなセンサーを大動脈 のこぶの中に入れ、血圧の変化を体の外から感知するという方法です。センサーには、コイル のついた2枚の合成樹脂 製の板がついており、血圧に応じてひずみます。体の外から電磁波 をあてると、そのひずみ具合がわかるのです。
この方法なら、患者は自宅で簡単に検査できます。また、そのデータは、インターネット を通じて病院に自動送信され、大動脈 のこぶが破裂する危険を監視することができます。
さらに、このシステムは心不全(心臓血液 を送り出すしくみが低下する病気)の予防にも応用できると期待されています。