細菌にデータを保存する
2007年03月19日 橘悠紀(科学ライター)
目 に見えないほど小さな細菌に、たくさんのデータを記録する。生命と情報の研究が合体した画期的なデータ保存法が開発されました。

| 今回の研究に使われたものと同じ種類の枯草菌(写真提供:慶應義塾大学先端生命研究所非常勤講師・大橋由明) |
データの記録媒体として有望な細菌のDNA
コンピュータ
ーであつかうようなデータを保存しておくために、CD
-ROM
やメモリースティック、ハードディスクなどの媒体が利用されます。これらの媒体には、データが「0」と「1」の数字の配列として記録されているのです。こうしたデータを、細菌のDNA
(生物の体のつくりやはたらきを親から子に伝えるための遺伝
情報が記録されている物質)に記録する研究が進められています。
細菌は非常に小さく、何代にもわたって遺伝
情報が受け継がれていくため、大容量のデータを長期間保存することができるのです。しかし、その半面、何代も受け継がれていく間に、そのデータが少しずつ変化するため、記録したデータがこわれてしまうという欠点もありました。
データをこわれにくくする保存法
慶應義塾大学先端生命研究所と同大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の研究グループは、保存したいデータを4種類の配列にして細菌に記録する、新しい保存法を開発しました。この方法では、細菌のDNA
に記録したデータが何世代も受け継がれる間に一部がこわれても、ほかの部分から正しい情報に修復できるのです。
研究グループは、枯草菌という細菌の一種にデータを保存し、どれくらいの期間、このデータが正しく受け継がれるかを、コンピュータ
ーでシミュレーションしました。その結果、数百年から数千年という長い間データを保存できる可能性があることがわかりました。





