夢に限界はない――人類が火星に降り立つ日
2004年01月14日 吉戸智明
2004年1月 、アメリカのブッシュ大統領は、有人月 面探査 の再開と火星 への有人飛行実現を目 指した新たな宇宙 政策構想を発表しました。私たち人類は、いよいよ本格的な宇宙 進出の時代を迎えようとしています。

ブッシュ大統領の演説
2004年1月
14日、アメリカ合衆国は新たな宇宙
政策構想を発表しました。この中で、ブッシュ大統領は、構想の意義について次のように語り、月
面基地建設、有人惑星
探査
や次世代宇宙
船の開発に対する強い意思を示しました。
「無人の探査
機や着陸船などは、地球に素晴らしい映像
と大量の情報を送ることができる。しかし、人類の知識に対する欲求は、どれほど鮮明な写真や詳細な計測によっても満たされることはない。我々は、自分自身のために、自分の目
で見て、自分の手で触れる必要があるのだ。
この宇宙
への旅の中で、我々は多くの技術的な発展を遂げるだろう。この技術的進歩が何であるかはまだわからない。月
や火星
で、我々の想像
を遙かに超えた発見があるかもしれない。我々の夢の限界が試されるのだ。
さあ、探求を続けよう。神の祝福を。」
新たな宇宙計画
この新宇宙
政策構想には、主に、以下に記した3つの目
標があります。構想の中で具体的には触れていませんが、これらの目
標の先に、次のステップ、つまり人類の火星
到達の実現があるのです。
1)国際宇宙ステーション
(ISS)を2010年までに完成させる。宇宙
ステーションでの研究は、長期の宇宙
飛行に関する医学・生物学の研究を中心に行う。スペースシャトル
は、宇宙
ステーション建造のために資材と人員の輸送に全力
を注ぎ、その完成とともに引退させる。
2)スペースシャトル
の役割を引き継ぐ新しい有人探査
機(CEV;Crew Exploration Vehicle)を2008年までに開発し、2014年までに有人飛行を行う。CEVは、月
や火星
などの地球圏外に宇宙
飛行士を運ぶことを主な目
的とする。
3)遅くとも2020年までに、再び人類を月
に到達させる。有人探査
の準備として、2008年まで月
の無人探査
を行う。月
面に拠点を置き、月
の上で知識と経験を得ることで、さらに多くの野心的な計画を生み出し、宇宙
探査
のコストを下げることが期待できる。

日本の宇宙開発長期ビジョン
米国の新宇宙
政策構想が発表されて約1年後の2005年4月
6日、日本でも、宇宙
航空研究開発機構(JAXA)が2025年までの宇宙
開発の長期ビジョンを報告しています。その内容は、米国に負けず劣らず野心的なものです。有人宇宙
飛行や、それに伴って期待される技術革新などは米国と歩調を合わせていますが、日本独自の計画も盛り込まれています。
1)安全で豊かな社会の実現を目
指し、統合観測・監視・通報システムを作り出す。人工衛星
などを活用し、誰もが、いつでもどこでも、災害情報や地球環境についての情報を受けとり、発信することができる。
2)宇宙
・物質・空間の起源の探求と、地球外惑星
・生命探査
を行う。そのための活動拠点を月
面やラグランジュ点に構築する、「深宇宙
港構想」の実現を目
指す。
3)日本独自の有人宇宙
活動を実現するための、関連技術を確立する。世界最高の信頼性と競争力
を有するロケットや軌道間輸送機など効率的な宇宙
輸送システムの開発とともに、有人宇宙
活動に必要な重要技術の獲得・確立を目
指す。
そして人類はどこへ向かうのか
こうした米国や日本の宇宙
開発計画は、多くの関係者の努力
と、私たち一人ひとりの協力
なしに達成することはできません。米国では、実現のために、5年間で120億ドル(約1兆3000億円)という巨額の予算を注ぎ込むことが決定しています。日本は、まだその段階ではありませんが、このビジョンを実現するためには、今後、これまでの規模を超える予算が必要となるでしょう。私たちはしっかりと未来を見据え、これらの計画をより良いものにできるよう、考える必要があります。
ブッシュ大統領は演説の中でこうも言っていました。「我々は宇宙
の中心に向かっているのだ」と。
国際宇宙ステーション
、月
面基地、そして火星
。さらには、太陽系
から深宇宙
における、宇宙
観測や火星探査
などの活動拠点としての「深宇宙
港」の建設。
私たち人類の活動する領域は、どんどん拡大していきます。いずれ、私たちの生まれ故郷である太陽系
を離れ、星の大海に漕ぎ出していく日も、そう遠くはないかもしれません。





