科学ドキュメント

太陽系の外にも生命を持った“第2の地球”が存在している!?

2005年11月01日    庄司里紗


みなさんは私たちの住む太陽系 の外にも170個近い数の惑星 が存在していることをご存知でしょうか? これらの天体 は系外惑星 と呼ばれ、その研究は現在、天文学で最も活気のある分野となっています。

太陽系の外にも惑星は存在した!

系外惑星 の存在はこれまでさまざまに予測されてきましたが、その存在が実際に確かめられたのは、わずか10年ほど前。つい最近のことです。

ただし“存在が確かめられた”とは言っても、直接的な観測、つまり望遠鏡 などによる直接の撮像 に成功した確実な例はまだありません。これまでに発見された系外惑星 は、惑星重力 によって恒星 がふらついた時に起こるドップラー偏移を利用して間接的に観測されたもので、すべて木星 のような巨大惑星 です。なぜなら、この観測方法は重力 の大きい巨大惑星 には有効ですが、軽い惑星 (地球型)には適していないからです。そのため、系外惑星 を直接観測できるような観測装置の登場に期待がかかっています。

しかし、直接これらの惑星 を観測することは、明るい灯台の近くでほのかに光る蛍を探すぐらい難しいことです。そのため、「暗い惑星 を検出できる高い感度」「恒星 のすぐ近くにある惑星 を見分けるシャープな画像 」「暗い惑星 が明るい恒星 からの光に埋もれないための高いコントラスト」という3つの機能を併せ持つ、全く新しい観測装置が必要なのです。


第二の木星、第二の地球を探せ!

そこで2005年4月 、国立天文台に「太陽系 外惑星 探査 プロジェクト室」(略称:系外惑星 プロジェクト室)が発足しました。ここでは、若い巨大惑星 から一般的な巨大惑星 、そして地球型惑星 というステップで系外惑星 を直接観測するための試みが進められています。

ハワイ島に設置されている国立天文台のすばる望遠鏡 では、明るい天体 を隠し、その構造や周辺の暗い天体 を観測しやすくする高コントラストのコロナ グラフ専用装置「CIAO(チャオ)」を世界に先駆けて製作しました。若い巨大惑星 を探査 したり、惑星 系誕生の現場を直接撮像 するプロジェクトに取り組んでいます。

そのCIAOによる観測で、最近、木星 の40倍程度の質量 を持つ若い天体 の発見に成功しました。一般的に、惑星 と呼ばれるのは質量 が木星 の重さ の約13倍以下の天体 です。この発見によって、太陽 以外の恒星 を回る惑星 、つまり“第二の木星 ”や“第二の地球”の直接撮影にあと一歩まで迫ったのです。

すばる望遠鏡 では現在、後発のライバル望遠鏡 に差をつけるため、地上観測の妨げとなる大気のゆらぎを補正する補償光学の開発と、これに対応する高コントラスト装置の開発が急ピッチで進んでいます。

“生命のいる惑星”の発見にも期待

とはいえ、汎用望遠鏡 として設計されたすばる望遠鏡 で得られるコントラストには限界があります。そのため、系外惑星 プロジェクト室では、系外惑星 の観測に特化した専用望遠鏡 の開発を検討しています。コロナ グラフを応用した、宇宙 に浮かぶスペース望遠鏡 です。

口径3.5メートルの特殊宇宙 望遠鏡 や、鏡面の小さな凹凸による誤差 を補正できる波 面補償光学などを用いると、恒星 より10桁ほども暗い天体 が可視光で観測できるようになります。これによって、太陽 の近くに存在する数十個の恒星 の周りに、地球に似た惑星 があるかどうか調べることができるはずです。

また、惑星 のスペクトル を調べれば、酸素 の存在量もわかります。単に地球型惑星 の有無だけでなく、惑星 に生命が存在するかどうかまで推定できるのです。

系外惑星 への興味は人類共通です。地球型系外惑星 を探す試みは、米国航空宇宙 局(NASA)による「TPF計画」や、欧州宇宙 機関(ESA)による「ダーウィン 計画」といった大規模な計画が数年前からすでに検討されています。

太陽系 外惑星 科学は新しい研究分野です。地上観測や理論研究などにおいて、国境を越えた連携と協力 が重要でしょう。

<引用元>
『Science & Technology Journal』2005年11月 号30~31ページ
「ロマン探求 太陽系 外に惑星 を探す」

<原著者>
自然科学研究機構国立天文台 光赤外天文学研究部 系外惑星 プロジェクト室 助教授
田村元秀(たむら もとひで)