科学ドキュメント

“透明マント”は実現目前!? 透明技術のヒミツに迫る! 中編

2007年02月13日    島田健弘


漫画やアニメ、映画など、さまざまな作品に登場する透明人間。もし透明人間になったらどうしよう? 誰にも気づかれずに「ムフフ」なことをしたり、試験前の学校に忍び込んで試験問題をチェックしたり……。ワルい想像 ばかりする人もいるでしょう。では、そんな透明マントが実際に誕生するかもしれない、と言われたらあなたはどうしますか? 実はそんな研究が行われていたのです!!

人間が見える光の波長は280~780ナノメートル

 そもそもモノが見えるということはどういうことでしょうか。

 目 の前にあるパソコン、机、壁などがなぜ見えているのか。考えてみると不思議です。
 「 の中のロドプシンという化学物質が光を感知することで、モノは見えるのです」
 そう説明してくれたのは、大阪大学の伊東一良教授です。
 すこし難しい考え方ですが、私たちはモノを見ているというのは、正確に言えばモノに当たった光を見ているというわけです。

“光が物体に当たって反射 することでモノが見える”ということは、そういうことだったのです。
 では、その光とは電磁波 の一種だと説明しましたが、それでは電磁波 とはどんなものなのでしょう。その正体を伊東先生にうかがいました。


日本光学会の幹事長、大阪大学の伊東一良教授

人には見えない光も

 伊東先生は光をキーワードに、さまざまな研究実験を行う学術団体「日本光学会」の幹事長です。

 偉そうで怖い先生かと思ったら、関西弁 で楽しくわかりやすく教えてくれる優しい先生でした。

 早速伊東先生に光、つまり電磁波 の説明を聞いてみました。

「電磁波 は電波 、光、X線、ガンマ線などに分かれている のようなものです。光には赤外線、紫外線可視光線 があります。可視光線 は280~780ナノメートル (10億分の1ミリメートル)ほどの範囲で震える波 のことをさします。この可視光線 の範囲の波 の振動 をロドプシンは感じ取るのです。赤外線と紫外線 は、可視光線 より外の波 長の光でロドプシンが感知できない振幅 のため、不可視光線 と呼ばれています」

 この280~780ナノメートル の幅が、ガラスのプリズムを通すと七色の光(紫・藍・青・緑・黄・橙・赤)となって見えるのです。


色って何だ?

 実はこの「色」というのが、光にとっては重要です。

 鏡や水 面、ダイヤモンドなど光が反射 して輝くと真っ白に見えます。

 つまり光は通常は真っ白に見えるのです。それなのに、なぜモノには色がついているのでしょう?

 伊東教授はこう答えます。
「物体は光を反射 するだけでなく、吸収します。表面だけで反射 する光は白く見えますが、光の一部は数ミクロンだけ物体の中に屈折して侵してから反射 します。そのとき、特定の色の光を吸収してしまうので、残った光が反射 されて色となって見えるのです」
 

光は反射されたり、吸収される?

 伊東先生の話によると、光は で、人間の が捉える波 の幅を可視光線 と呼ぶ、その可視光線 はプリズムを通すと七色の波 長に分かれる、ということ。そしてモノが光を反射 したり、一部の可視光線 を吸収したりすることで、形と色を感知できるのです。

 でも、まだギモンが出てきます。
 いったいなぜモノは光を反射 したり、吸収したりするのか?

 それがわかりません。
「光を反射 するのは、物質には固有の光の屈折 率があるからです。そのため、屈折率の異なる物質の境界面では光は必ず反射 します。さらに屈折率の差が大きければ大きいほど、よく反射 します。ダイヤモンドがキラキラ輝くのも空気 との屈折率の差が大きいからです」
 その疑問に答えてくれたのが理化学研究所・河田ナノフォトニクスの田中拓男先生です。