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自然だより

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キオビベッコウ

2008年08月22日高嶋清明

キオビベッコウはハチの仲間です。ミツバチやアシナガバチと違(ちが)い、一つの巣に集団で暮(く)らすハチではありません。一生を単独でくらし、コガネグモなどの大きなクモを獲物(えもの)とする狩(か)りバチです。クモを狩るのはメスだけ。クモは幼虫 の食べ物になります。写真は、キオビベッコウのメスが、狩ったクモを運んでいるところです。

キオビベッコウの針の一撃(いちげき)で、クモはすぐに動かなくなりますが、死ぬわけではありません。麻酔(ますい)されたような状態になり、生きてはいますが動くことができなくなります。これで、幼虫 はいつまでも新鮮(しんせん)な生きたクモを食べられるようになります。

巣部屋は、土の中に掘(ほ)って作られた簡単なものです。キオビベッコウのメスは、そこにクモを入れ、卵 (たまご)を一個産みつけて巣穴の入り口をふさぎます。やがて孵化 (ふか)したキオビベッコウの幼虫 は、巣部屋のクモを食べて育ち、蛹(さなぎ )となり、羽化 すると地上に出てきます。クモ一匹が、ちょうどキオビベッコウの幼虫 一匹が成長するのに必要な食料となるのです。

キオビベッコウは、他の狩りバチと違って、巣作りを夜に行います。おそらく、寄生バエなどの敵に見つからないようにするためでしょう。夕方までにクモを狩って待機していたキオビベッコウは、夜になっていっせいに巣穴を掘り始めます。それにしても真っ暗な闇(やみ)の中で眼が見えているのでしょうか。びっくりさせないように弱めの懐中電灯(かいちゅうでんとう)を照らし実際に観察してみると、動きも素早く正確で、全く迷うことなく作業しています。本当に驚(おどろ)きました。

キオビベッコウが巣穴を掘り始めたのは夜の7時、クモを埋めて巣穴をふさぎ終わったのは9時半過ぎでした。これだけ手間と時間をかけての作業も、すべて我(わ)が子のため。生まれた幼虫 は、母親の残してくれた安全な巣部屋と食べ物で、すくすくと育つことでしょう。

文 高嶋清明
高嶋清明(たかしま きよあき) 1969年山形県生まれ。昆虫写真家 。 昆虫写真家海野和男氏の助手を経て2008年4月独立。 山形県庄内地方に移り、新たなフィールドで活動中。 昆虫や植物を中心とした写真撮影のほかビデオ撮影や自然音録音も手がける。

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