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クロナガアリ

2008年11月07日高嶋清明

クロナガアリは名前のとおり黒く細長いアリです。体長は5mmほど。暑さが苦手なのか、夏の間はずっと地下の巣で過ごし、外に出ることはありません。秋も深まった頃になって、ようやく 巣の出入り口を開き地上に姿(すがた)を現します。

秋は実りの季節。それはエノコログサやオヒシバなど地表の草にしても同じです。1~2mmほどの小さな実が、地面にたくさん落ちています。クロナガアリは、そんな小さな草の実が大好物。秋の暖(あたた)かい日差しのなか、たくさんの働きアリが外に出て、周囲から草の実を巣に運び込みます。巣の出入り口を観察していると、色んな草の実を持った働きアリが次々に帰ってくるので、見ているだけでも楽しくなります。

ふと気がつくと、動きのおかしな二匹(ひき)がいました。1つの種を二匹でくわえて、あっちへ行ったりこっちへ行ったり、うまく進めないでいます。協力 しあって草の実を運んでいるわけではないようです。二匹とも同じ巣のアリですが、運悪く同じ実をくわえてしまったのです。それぞれが違(ちが)う道を通って巣の方に行こうとしているので、引っ張り合うような状態です。なかなか決着がつかず5分以上そのままでしたが、やがて右側のアリがあきらめて離(はな)れていきました。周りには、たくさん草の実が落ちています。この一粒(ひとつぶ)にいつまでもこだわっている必要はないと気づいたのかも知れません。

クロナガアリは、冬でも暖かい日には外に出て、草の実を集めます。春になってもしばらくは姿が見られます。イソップの童話「アリとキリギリス」のアリは寒い冬に備えて食べ物をたくわえていましたが、クロナガアリは暑い夏に備えて食料をたくわえているのです。

文 高嶋清明
高嶋清明(たかしま きよあき) 1969年山形県生まれ。昆虫写真家 。 昆虫写真家海野和男氏の助手を経て2008年4月独立。 山形県庄内地方に移り、新たなフィールドで活動中。 昆虫や植物を中心とした写真撮影のほかビデオ撮影や自然音録音も手がける。

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