2008年12月26日尾園暁
12月
も下旬(げじゅん)になり、湘南でもいよいよ虫の姿(すがた)が少なくなってきました。そんななか、林の道を歩いていると、思いがけない光景(こうけい)に出合いました。アオキという常緑樹(じょうりょくじゅ)の葉
の影(かげ)に、たくさんのチョウが集(あつ)まっているのです。これはムラサキツバメという、シジミチョウの仲間です。
ムラサキツバメはわりあい大型のシジミチョウで、街中(まちなか)でもよくみかけるヤマトシジミやベニジジミよりも一回(ひとまわ)り大きな体をしています。写真のように、翅(はね)の裏は地味な茶色をしていますが、翅を開くと美しい紫色(むらさきいろ)の斑紋
(はんもん)があります。この紫色と、後ろ翅に鳥のツバメのしっぽのような突起(とっき)があることから、その名がついています。
もともとムラサキツバメは、西日本の暖(あたた)かな地域(ちいき)だけで見られるチョウでした。ところが、1990年代の後半になって、東海地方や関東地方で見られるようになったのです。その理由のひとつは、地球の温暖化(おんだんか)によって、冬を越(こ)せる地域(ちいき)が広がっているためだと考えられています。また、ムラサキツバメの食樹(しょくじゅ・幼虫
がたべる植物)が、街路樹(がいろじゅ)によくつかわれるマテバシイなどであることから、それらの植物についていたものが、人の手によって運ばれた可能性(かのうせい)もあります。
これまで見られなかった地域(ちいき)で増(ふ)え続けているムラサキツバメ。このさき、どこまで分布(ぶんぷ)を広げていくのでしょうか。