
2008年12月26日高嶋清明
寒い冬のあいだ、多くの昆虫(こんちゅう)たちは活動を停止し、じっと春になるのを待ちますが、中には冷たい雪
の上でも平気に歩き回るものがいます。写真の昆虫もその1つ。これはクモガタガガンボといって、ガガンボの一種です。体長は1cm以下の小さな昆虫です。
ガガンボを知っている人なら、この写真を見てきっと「えっ?」と思ったことでしょう。ガガンボというと大きなカのような虫で、体はもっと細長くて、足も糸のように細く、何より羽があって飛べるはず。でも、このクモガタガガンボは、オスにもメスにも羽がありません。名前のとおりクモのような奇妙(きみょう)な姿(すがた)を見て、私も最初はこの虫がガガンボの一種とは信じられませんでした。
でも、ルーペ
を使って顔をよく見ると、確かにガガンボの特徴(とくちょう)が見られます。また、ガガンボの後ろ羽は退化して「平均こん」というものになっていますが、クモガタガガンボにもガガンボと同じような平均こんがあります。様々な特徴を比較(ひかく)してみると、クモガタガガンボとガガンボとの共通点が次々に見つかってきます。
クモガタガガンボが最も活発に動く温度は-4℃~0℃。彼らの体内は0℃以下でも凍(こお)らない特殊(とくしゅ)な液に満たされていて、他の虫たちが全く動けなくなる低温状態でも活発に動くことができます。一方、普通の虫が活動できる温度まで上がってしまうと、暑すぎて動けなくなってしまいます。庄内でも、平野部では彼らの活動には気温
が高すぎるようで、高い山に行かないと見つかりませんでした。
クモガタガガンボが、わざわざ寒さの厳(きび)しい環境(かんきょう)に体を合わせたのは、やはり天敵
をさけるためと考えられます。氷
点下の環境では、天敵
となる生きものが少なくなります。一番の敵である鳥たちも、寒すぎるとあまり活動しません。雪
の上を活発に歩くクモガタガガンボは、実によく目
立っていて、見ていて心配になるくらいですが、それだけ敵に見つからない自信があるのでしょう。
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