2010年01月22日高嶋清明
冬に活動する昆虫は翅(はね)のないものが多いのですが、これもその1つ。タマバチの一種(いっしゅ)です。強い風に飛(と)ばされて枝(えだ)から落ちてしまったのでしょう。雪
の上を歩いていました。
気温
は0℃。しかも雪
の上です。ふつうの昆虫は、まともに歩くことさえできないはずですが、このタマバチはまるで平気な様子。寒い真冬(まふゆ)でも活動(かつどう)できる特別(とくべつ)な体なのです。翅がないのも、寒さ対策(たいさく)の1つと言っていいでしょう。温度の低い状態(じょうたい)で翅を使うのは特にエネルギー
が必要(ひつよう)で、翅はない方が都合(つごう)がいいのです。
しかし、翅がないとオスとメスの出あいの機会(きかい)は少なくなります。真冬の昆虫たちには大問題。前に紹介(しょうかい)したクモガタガガンボは、オスもメスも出あいの機会をさがして雪
の上を走り回っていました。フユシャクの場合は、オスだけには飛ぶ能力
(のうりょく)がそなわっていました。では、このタマバチの場合はどうかというと、なんと冬に出るタマバチはメスだけです。メスだけで卵
を産(う)むことができるのです。これを単為生殖
(たんいせいしょく)といいます。オスとの出あいにエネルギー
を使う必要(ひつよう)もなく、メスは産卵
(さんらん)だけに集中することができます。
ただしメスだけで卵
を産むのは冬だけのことです。夏に出る世代(せだい)ではオスもあらわれて、ふつうの昆虫のように交尾(こうび)をして卵
を産みます。
このタマバチは植物の冬芽(ふゆめ)に卵
を産みつけます。春になると産卵
された場所にはこぶができ、卵
からかえった幼虫
はこぶの中を食べて育ちます。このこぶは、虫こぶ(むしこぶ)または虫えい(ちゅうえい)とよばれています。タマバチには種類(しゅるい)も多く、種類によって虫こぶの形もさまざまです。