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ホソヒラタアブ

2010年02月05日尾園暁

さすがに昆虫(こんちゅう)の姿(すがた)が少(すく)なくなった真冬(まふゆ)の湘南(しょうなん)ですが、それでもすこし暖(あたた)かな晴(は)れた日(ひ)に出(で)かけてみると、活動(かつどう)している昆虫を見(み)かけることがあります。なかでも見つけやすいのが、このホソヒラタアブです。

ホソヒラタアブは体長(たいちょう)1cmほどの小形(こがた)のアブで、ハチのような黄色(きいろ)と黒(くろ)のしま模様(もよう)が特徴(とくちょう)です。しかし秋(あき)から春(はる)にかけて気温 (きおん)の低(ひく)い時期(じき)に発生 (はっせい)する個体(こたい)は、写真(しゃしん)のように背中(せなか)の中央(ちゅうおう)に1本(ぽん)の黒い縦(たて)スジが現(あらわ)れ、少し違(ちが)う姿をしています。

図鑑(ずかん)などには春(はる)から秋(あき)にかけて出現(しゅつげん)すると書(か)かれていることが多いのですが、湘南のように冬でもわりあい暖かな地域(ちいき)では、こうして冬の間もずっと見ることができます。たいていは日向(ひなた)にある木(き)の (は)や、地面(じめん)の落(お)ち葉 (ば)などにじっと止(と)まっていますが、ときにはホバリング といって、空中(くうちゅう)の1点(てん)にとどまったまま飛(と)んでいたり、花(はな)が咲(さ)いているとやってきて、蜜(みつ)をなめていることもあります。

アブというと、人(ひと)や動物(どうぶつ)を刺(さ)して血(ち)をすう種類(しゅるい)もあることから、どうしても嫌(きら)われがちですが、このホソヒラタアブをはじめとするハナアブと呼(よ)ばれるアブの仲間(なかま)は、花の蜜が専門で、人を刺すことはありません。ハナアブの仲間はどれもハチのような模様をしていますが、もちろん毒針(どくばり)はなく、捕(つか)まえても大丈夫(だいじょうぶ)です。きっとハチに擬態 (ぎたい)することで、鳥(とり)などの天敵 (てんてき)から身(み)を守(まも)っているのでしょう。

花壇(かだん)の花や日向の木に止まっている小さなハチのような虫を見つけたら、そっと見守(みまも)ってあげてください。それはきっと寒(さむ)い冬に耐(た)え、春を待(ま)っているホソヒラタアブです。

文 尾園暁
尾園暁(おぞの あきら) 昆虫写真家。 大阪生まれ。おさないころ、両親に買ってもらった図鑑をきっかけに、昆虫の魅力にとりつかれる。現在は神奈川県南部の湘南(しょうなん)に在住。地元と小笠原諸島(おがさわらしょとう)を中心に、虫たちを撮影する日々を送っている。

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