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シロキツネノサカズキモドキ

2010年03月12日高嶋清明

林の中に、おもしろいキノコを見つけました。落ち葉 のあいだから直径1cmくらいの丸いおわんのようなかさがのぞいています。ふつうのキノコと違(ちが)って、かさはかさでも強い風でひっくり返った時のようです。写真には3つのキノコがうつっていますが、そのうち2つはまだ成長途中(せいちょうとちゅう)で、かさは開いていません。白い毛のようなものがこまかく生えていて、かわいらしく思えました。いくつかまとまって出るようで、林の中にこんな集まりがいくつも見られました。

さて、このキノコについて調べてみたところ、実(じつ)におもしろい名前がつけられていることがわかりました。シロキツネノサカズキ。ただしそれは夏にはえるキノコで、近いなかまのシロキツネノサカズキモドキは早春(そうしゅん)から見られるとのこと。私が写真に撮ったのは、シロキツネノサカズキモドキとみて間違(まちが)いないようです。

さかずきとは漢字に書くと「盃」または「杯」。お酒を飲(の)むために用(もち)いる器(うつわ)のことです。おめでたい席や儀式(ぎしき)の時に赤い朱塗(しゅぬ)りの盃が使われます。名前をつけた人は、森のキツネたちがこの小さな盃でにぎやかな宴会(えんかい)を開いている様子(ようす)を思いえがいたのでしょうか。そんな想像 をしてちょっと楽しくなりました。しかし、毒(どく)のある植物の名前に「キツネ」が入ることもあります。シロキツネノサカズキについても、もしかしたらそうなのかも知れません。

写真を撮(と)った2日後、庄内(しょうない)には再(ふたた)び が降(ふ)りました。あのキノコたちも雪 にうもれてしまったことでしょう。でも、3月 に入ってから雪 が降るのは毎年のことです。そして早春に出るものは、動物も植物も寒さに強(つよ)いものばかり。心配はいりません。

文 高嶋清明
高嶋清明(たかしま きよあき) 1969年山形県生まれ。昆虫写真家 。 昆虫写真家海野和男氏の助手を経て2008年4月独立。 山形県庄内地方に移り、新たなフィールドで活動中。 昆虫や植物を中心とした写真撮影のほかビデオ撮影や自然音録音も手がける。

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