2010年07月09日高嶋清明
梅雨
(つゆ)の晴(は)れま、林道(りんどう)を歩いていると、地面(じめん)からコムラサキが次々に飛(と)びたちました。地面からしみ出た水
を飲(の)んでいたのです。あたりを見まわすと、写真のように葉
の上に落ちた鳥の糞
(ふん)に集(あつ)まって、口をのばしているものもいました。
コムラサキは6〜7cmほどのタテハチョウ科(か)のチョウです。幼虫
はヤナギのなかまを食べるため、平地(へいち)から山地(さんち)まで広い範囲(はんい)にすんでいます。成虫
は、花の蜜(みつ)を吸(す)うことはなく、おもに樹液(じゅえき)や果物(くだもの)の汁(しる)を吸ってくらしています。
コムラサキの翅(はね)は見る角度(かくど)によって、紫(むらさき)色に輝(かがや)いたり、地味(じみ)な茶(ちゃ)色に見えたりします。左側の翅を開いたコムラサキに注目
(ちゅうもく)して下さい。左翅はとても美しい紫色に見えますが、右翅はまったく紫色に見えません。でも、ここから少し角度を変えて見ると、すぐに左翅の紫色も消(き)え、茶色く地味な色に変化します。何とも不思議(ふしぎ)な色です。
このような色を構造色(こうぞうしょく)といいます。色あざやかに見えますが、それ自体(じたい)には色がなく、光が複雑(ふくざつ)に反射
(はんしゃ)することによって、色があるように見えています。透明(とうめい)なはずのシャボン玉が、光のあたり方で虹
色(にじいろ)に見えることがありますが、これも構造色によるものです。コムラサキの場合は、翅の鱗粉(りんぷん)に、構造色を作るしくみがあります。ちなみに構造色の翅をもつのはオスだけ。メスはどの角度から見ても地味な茶色の翅です。
構造色は、コムラサキのほか多くのチョウや、タマムシやカナブンなどの甲虫(こうちゅう)など、さまざまな昆虫に見られます。