かがくナビ

  • home
  • 自然だより
  • 科学ムービー
  • ブログ
  • ナビのひろば

自然だより

ディスクリプション ディスクリプション

コケオニグモ

2010年07月23日高嶋清明

サクラの幹(みき)に変わったクモを見つけました。コケにそっくりな模様(もよう)をもつオニグモのなかま、その名もコケオニグモです。体長(たいちょう)は2cm以上あって、家の軒先(のきさき)に巣(す)を作るオニグモと同じくらい大きなクモです。数が少ないためか、それともこの見事(みごと)な擬態 (ぎたい)のためか、なかなか姿(すがた)を見ることがありません。

どうしてコケそっくりな姿をしているのでしょう。コケオニグモは、ほかのオニグモと同じように、夜になると丸い網(あみ)を張(は)って、その中心で獲物(えもの)を待(ま)ちます。まっ暗な闇(やみ)の中は色のない世界。鮮(あざ)やかな緑色は、近くを通る虫たちにも見えません。獲物を待つうえで、コケに似(に)た模様はほとんど役に立たないのです。

コケに似た姿は、休む時のためのものです。夜行性(やこうせい)のコケオニグモは、昼の明るい時間に眠(ねむ)ります。コケがびっしりついた木の幹にとまっていると、すっかりその中にとけこんでしまいます。コケのないところにとまっていても、たまたまそこにコケが生(は)えたように見えるだけで、すぐにはクモと気づかないでしょう。こうしてコケオニグモは、鳥やハチなど怖(こわ)い敵(てき)の をごまかしながら、安心して休むことができるのです。

オニグモのなかまは、朝になるとせっかく作った丸い網をこわして食べてしまいます。これも、敵から身を守るための作戦(さくせん)。網を残(のこ)したままだと、近くに休んでいることをわざわざ敵に教えてしまうことになるからです。大きくて怖そうなクモも、結構(けっこう)用心(ようじん)ぶかいところがあります。

文 高嶋清明
高嶋清明(たかしま きよあき) 1969年山形県生まれ。昆虫写真家 。 昆虫写真家海野和男氏の助手を経て2008年4月独立。 山形県庄内地方に移り、新たなフィールドで活動中。 昆虫や植物を中心とした写真撮影のほかビデオ撮影や自然音録音も手がける。

過去の科学グラフィックス一覧

並び替え:

選択 写真家 種 類 月 別