2010年07月23日高嶋清明
サクラの幹(みき)に変わったクモを見つけました。コケにそっくりな模様(もよう)をもつオニグモのなかま、その名もコケオニグモです。体長(たいちょう)は2cm以上あって、家の軒先(のきさき)に巣(す)を作るオニグモと同じくらい大きなクモです。数が少ないためか、それともこの見事(みごと)な擬態
(ぎたい)のためか、なかなか姿(すがた)を見ることがありません。
どうしてコケそっくりな姿をしているのでしょう。コケオニグモは、ほかのオニグモと同じように、夜になると丸い網(あみ)を張(は)って、その中心で獲物(えもの)を待(ま)ちます。まっ暗な闇(やみ)の中は色のない世界。鮮(あざ)やかな緑色は、近くを通る虫たちにも見えません。獲物を待つうえで、コケに似(に)た模様はほとんど役に立たないのです。
コケに似た姿は、休む時のためのものです。夜行性(やこうせい)のコケオニグモは、昼の明るい時間に眠(ねむ)ります。コケがびっしりついた木の幹にとまっていると、すっかりその中にとけこんでしまいます。コケのないところにとまっていても、たまたまそこにコケが生(は)えたように見えるだけで、すぐにはクモと気づかないでしょう。こうしてコケオニグモは、鳥やハチなど怖(こわ)い敵(てき)の目
をごまかしながら、安心して休むことができるのです。
オニグモのなかまは、朝になるとせっかく作った丸い網をこわして食べてしまいます。これも、敵から身を守るための作戦(さくせん)。網を残(のこ)したままだと、近くに休んでいることをわざわざ敵に教えてしまうことになるからです。大きくて怖そうなクモも、結構(けっこう)用心(ようじん)ぶかいところがあります。