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アブラコウモリ

2010年08月20日尾園暁

日(ひ)が沈(しず)み、あたりが暗(くら)くなってくるころ、小(ちい)さな鳥(とり)のような黒(くろ)い影(かげ)がどこからともなくあらわれ、空地(あきち)や水 田(すいでん)の上(うえ)に集(あつ)まって縦横無尽(じゅうおうむじん)に飛(と)び回(まわ)っています。アブラコウモリです。

アブラコウモリはほぼ日本全国(にほんぜんこく)に分布(ぶんぷ)する小型(こがた)のコウモリで、日中(にっちゅう)は民家(みんか)の屋根 瓦(やねがわら)の下(した)や天井裏(てんじょううら)、コンクリートのすきまなどに隠(かく)れて眠(ねむ)っています。コウモリというと洞窟(どうくつ)に住(す)んでいるようなイメージがあるかもしれませんが、アブラコウモリは人間(にんげん)の作(つく)った建物(たてもの)をおもなねぐらにしており、このためにイエコウモリという別名(べつめい)があります。

活発(かっぱつ)に飛び回るのは夕方(ゆうがた)から夜(よる)の間(あいだ)で、小さな昆虫(こんちゅう)を空中(くうちゅう)で捕(とら)えて食(た)べますが、じつは (め)が小さくてあまりよく見(み)えていません。このため、アブラコウモリは口(くち)を開(あ)けて人間には聞(き)こえない高(たか)い周波数 (しゅうはすう)の音(おと)(超音波 (ちょうおんぱ))を出(だ)しながら飛び、木(き)や虫(むし)に当(あ)たって跳(は)ね返(かえ)ってくる音波 によって、障害物(しょうがいぶつ)の位置(いち)やエサのありかを把握(はあく)しています。

めずらしい動物(どうぶつ)だと思(おも)われることの多いコウモリですが、アブラコウモリは都会(とかい)でも普通(ふつう)に見ることができます。1頭(とう)で飛んでいることもありますが、多(おお)くは数頭(すうとう)~数十頭(すうじゅっとう)の群(む)れで生活(せいかつ)しており、ときには100頭を超(こ)える群れになることもあります。川沿(かわぞ)いの空地や公園(こうえん)で、夕暮(ゆうぐ)れ時(どき)に小さな鳥のような影がいくつもヒラヒラと舞(ま)っていたら、それはきっとアブラコウモリです。

文 尾園暁
尾園暁(おぞの あきら) 昆虫写真家。 大阪生まれ。おさないころ、両親に買ってもらった図鑑をきっかけに、昆虫の魅力にとりつかれる。現在は神奈川県南部の湘南(しょうなん)に在住。地元と小笠原諸島(おがさわらしょとう)を中心に、虫たちを撮影する日々を送っている。

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