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ヒロバネカンタン

2010年08月27日高嶋清明

前にカンタンを紹介(しょうかい)しましたが、これはヒロバネカンタンという昆虫です。カンタンとヒロバネカンタンは非常(ひじょう)に近い仲間(なかま)で、見た目 もそっくりです。どちらも体長15mmほどと同じくらいの大きさ、透明(とうめい)な翅(はね)をこすりあわせて鳴(な)く姿(すがた)もよく似(に)ています。8月 のはじめくらいから成虫 が出はじめるところも同じです。ヒロバネカンタンは名前のとおり、カンタンよりやや翅の幅(はば)が広く、少し緑色っぽいのですが、 で見比(くら)べての区別(くべつ)はとても難(むずか)しいです。

ところが、鳴き声はまるで違(ちが)います(ヒロバネカンタンの声はこちら)。カンタンは「ルルルル・・・」と連続的(れんぞくてき)な音で鳴きますが、ヒロバネカンタンは「ルー・ルー・ルー・・・」と区切(くぎ)るようにゆったりと鳴きます。実際(じっさい)に、両者(りょうしゃ)の鳴き声を聞(き)き比べてみると、姿形(すがたかたち)がそっくりなのに、どうしてこ うも違う声になってしまうのだろうと 不思議(ふしぎ)に思えてくるほどです。

彼らにとっては、鳴き声の違いこそが重要(じゅうよう)です。夜の闇(やみ)で活動(かつどう)する彼らにとって、鳴き声は仲間同士(どうし)がコミュニケーションをとる言葉 (ことば)のようなものです。鳴くのはオスだけですが、オスは鳴くことで別のオスに対し自分のなわばりをアピールし、近くにいるメスを呼(よ)んでいます。ヒロバネカンタンのすむ環境(かんきょう)にはカンタンもすんでいますが、姿が似ているからといって、決して相手を間違(まちが)えることはないのです。

ヒロバネカンタンは、海の近くにだけ見られます。

文 高嶋清明
高嶋清明(たかしま きよあき) 1969年山形県生まれ。昆虫写真家 。 昆虫写真家海野和男氏の助手を経て2008年4月独立。 山形県庄内地方に移り、新たなフィールドで活動中。 昆虫や植物を中心とした写真撮影のほかビデオ撮影や自然音録音も手がける。

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