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アオマツムシ

2010年09月03日高嶋清明

アオマツムシは、明治時代に日本に入ってきた外来生物(がいらいせいぶつ)です。はじめは東京にだけ見られる珍(めずら)しい昆虫だったようですが、100年の間に少しずつ勢力 (せいりょく)をひろげ、全国的に広く生息 (せいそく)するようになりました。もともと南方系(なんぽうけい)の昆虫なので、まず西日本に増(ふ)え、最近(さいきん)では東北地方にも勢力 をのばしつつあります。ここ山形でも、2000年代に入ってから鳴(な)き声が聞(き)かれるようになってきました(鳴き声はこちら)。

アオマツムシは樹木(じゅもく)の (くき)に卵 を産(う)みつけます。そのため街路樹(がいろじゅ)や庭木(にわき)が運(はこ)ばれる時に、卵 もいっしょに遠(とお)くに運ばれます。アオマツムシの分布(ぶんぷ)の拡大(かくだい)は、人が手助(てだす)けしていると言ってもいいのかも知れません。県境(けん きょう)で鳴くものがいないうちに、一気(いっき)に都市部(としぶ)でまず鳴きはじめるところからも、そう考えて間違(まちが)いないでしょう。問題(もんだい)は冬の寒(さむ)さですが、年々、声を聞く場所が増えているところをみると、秋に産卵 (さんらん)された卵 は、東北の冬の寒さにも負(ま)けることなく、翌年(よくねん)に命(いのち)をつないでいるようです。

アオマツムシは繁殖 力 (はんしょくりょく)の強(つよ)い昆虫です。いったん定着(ていちゃく)すると、数は増える一方です。今、山形ではまだ数が少(すく)ないので、一匹一匹の鳴き声を聞きわけられますが、いずれ何十匹もがいっせいに鳴くようになり、 を覆(おお)いたくなるほどの大音量(だいおんりょう)が街(まち)をつつむようになるでしょう。私は、夏の夜の東京で、はじめてアオマツムシの大合唱(だいがっしょう)を聞いたときは、これは虫の音を楽(たの)しむレベル ではないと思ってしまいました。下で鳴いているコオロギなど他(ほか)の虫の声が、まったく分からなくなってしまうからです。アオマツムシの声を聞くと、ちょっと複雑(ふくざつ)な気持ちになってしまいます。

文 高嶋清明
高嶋清明(たかしま きよあき) 1969年山形県生まれ。昆虫写真家 。 昆虫写真家海野和男氏の助手を経て2008年4月独立。 山形県庄内地方に移り、新たなフィールドで活動中。 昆虫や植物を中心とした写真撮影のほかビデオ撮影や自然音録音も手がける。

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