2010年09月10日尾園暁
暑(あつ)い日(ひ)が続(つづ)いていますが、野外(やがい)で生物(せいぶつ)を観察(かんさつ)していると、花(はな)や昆虫(こんちゅう)の種類(しゅるい)が移(うつ)り変(か)わり、秋(あき)の訪(おとず)れが近(ちか)いことを感(かん)じることができます。とある公園(こうえん)の植(う)え込(こ)みで見(み)かけた、コオロギの仲間(なかま)。これもまた秋になると成虫
(せいちゅう)が現(あらわ)れる、ウスグモスズ
です。
ウスグモスズ
は体長(たいちょう)6~7mm。白(しろ)っぽい体(からだ)と長(なが)い触角
(しょっかく)が目
(め)を引(ひ)く小型(こがた)のコオロギ類(るい)で、おもに低(ひく)い木(き)の上(うえ)で暮(く)らしています。
良(よ)く似(に)た種(しゅ)にクサヒバリやキンヒバリという、やはり小型のコオロギがいて、オスは左右(さゆう)の翅(はね)を擦(す)り合(あ)わせて美(うつく)しい声(こえ)で鳴(な)きますが、ウスグモスズ
にはひとつ大(おお)きな違(ちが)いがあります。オスもメスも鳴かないのです。主(おも)に鳴き声でコミュニケーションをとるコオロギの仲間では珍(めずら)しいことです。
湘南(しょうなん)では野外で普通(ふつう)に見られるウスグモスズ
ですが、じつはもともと日本(にほん)にいた昆虫ではないと言われています。1960年代(ねんだい)、東京都区部(とうきょうとくぶ)の西部(せいぶ)に侵入(しんにゅう)し、その後(ご)関東各地(かんとうかくち)へと分布(ぶんぷ)を広(ひろ)げ、現在(げんざい)ではさらに西(にし)の地方(ちほう)でも見られるようです。このように、海外(かいがい)からやってきて日本に定着(ていちゃく)した昆虫を帰化昆虫(きかこんちゅう)と呼(よ)びます。
しかし不思議(ふしぎ)なこともあります。このウスグモスズ
、帰化昆虫と言われながら、もともとどこの国(くに)からやってきたのか、分(わ)からないというのです。おそらくそれまで見つかっていなかったものが、突然(とつぜん)都心(としん)の近くで見つかり、分布を広げて行ったことから、そう判断(はんだん)されたのでしょう。輸入(ゆにゅう)された植物(しょくぶつ)などについてきたのかもしれません。
帰化昆虫のなかには、日本の農作物(のうさくもつ)などに被害(ひがい)を与(あた)えたり、もともと日本にいた昆虫と餌(えさ)の取(と)り合いをして、良くない影響(えいきょう)を与えるものもあります。今後(こんご)も注意深(ちゅういぶか)く見守(みまも)る必要(ひつよう)があるでしょう。何(なん)といっても、日本に入(い)れないように気(き)をつけることが大切(たいせつ)です。