HOME > 読む > 科学ニュース

今週のトピックス

角砂糖大のマイクロ燃料電池を開発

2007年05月07日    橘悠紀(科学ライター)

未来のエネルギー として期待されている燃料電池 。現在、多くの企業や研究機関が、より高性能な燃料電池 の研究・開発を行っています。

ほとんどのセラミックスは温度変化により膨張・収縮するが、チューブ型にすることで問題を解決した。|画像提供:独立行政法人産業技術総合研究所、ファインセラミックス技術研究組合

酸素と水素から電気を生み出す

に電気を通すと、酸素水素分解 することができます。燃料電池 はこの逆の原理を利用して水素 (燃料)と酸素 の反応 から電気を取り出しています。通常、水素 と酸素 が直接反応 するとすぐに燃えて水 になってしまい、このままでは電気は取り出せません。しかし、水素 と酸素 を電解質 という酸素 イオン や水素イオン だけが通過できる膜で分けることで、電気を取り出すことが可能になります。また、1枚のセルでできる電気は少ないのですが、セルを何枚も重ねることにより、必要な電気をつくり出すことができます。

現在の火力 ・原子 力 のような大規模な発電方法では、発電の際に燃料エネルギー の50%以上が として失われ、送電する際にもエネルギー が失われます。しかし、燃料電池 が各家庭に普及し、各家庭で発電を行うことが可能になれば、送電の際にエネルギー が失われることもなく、さらに発電に伴う排熱 を給湯や冷暖房に利用することによって、エネルギー を効率よく活用することができます。

また火力発電 は、発電の際に温暖化の原因となる二酸化炭素大気汚染 の原因となる窒素酸化物硫黄酸化物 を排出 しますが、燃料電池 は水 を排出 するのみで、窒素酸化物 や硫黄酸化物 はほとんど排出 されることがありません。そのため、地球環境にやさしいエネルギー として期待されています。

この大きさで、2W以上も発電することができる。|画像提供:独立行政法人産業技術総合研究所、ファインセラミックス技術研究組合

超小型で高出力を実現

燃料電池 には、いくつかの種類があります。固体 酸化物 型燃料電池 (SOFC)は、電解質 の材料に固体 酸化物 (セラミックス )を用い、発電効率が高く、ビルや工場・店舗などでの発電に向けて研究が進められています。しかし、作動温度が700~1,000℃と高いため、耐久性の高い材料が必要となることや、再運転時に温度が上がるまで時間がかかることが問題とされ、小型化や家庭向けの発電機 、携帯電話やノート型パソコンの電源などには不向きとされていました。

産業技術総合研究所先進製造プロセス研究部門機能モジュール 化研究グループなどは、酸素 イオン の流れやすいセラミックス を0.8~2mmのチューブ状にすることで発電効率を高め、耐久性を向上させることに成功し(写真1)、チューブ型マイクロSOFCを内部に集積する構造のSOFC集積体を開発しました(写真2)。これは、角砂糖大(1立方cm角)の大きさで、作動温度が600℃以下でも1立方cmあたり2W以上出力 できる世界最高レベル のマイクロ燃料電池 です。

開発されたマイクロ燃料電池 は、携帯電話やノート型パソコンの電源、家庭用の発電機 、自動車の補助電源などへの応用が考えられています。


Bbs_button