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今週のトピックス

野菜・果物に、食道がんを予防する効果があることを確認

2008年10月13日    橘 悠紀(科学ライター)

食習慣などの生活習慣と病気についての調査・分析から、野菜・果物を多く食べる男性は、あまり食べない男性に比べて、食道 がんになる危険度が低いことがわかりました。これまでの研究でも、野菜・果物を多く食べると、食道 がんの予防になると考えられていましたが、より大規模な今回の研究で、野菜・果物の効果が確認されました。(写真1)

写真1:さまざまな野菜。野菜・果物を多く食べると、食道がんになる危険度が低いことが確認された。
図1:食道。口と胃の間にあり、食べ物を胃に送るはたらきをする。 *クリックすると大きくなります。

飲酒・喫煙が、食道がんになる危険度を高めることが、これまでにわかっている

食道 は、口と をつなぐ器官 で、食べた物を に送るはたらきがあります(図1)。食道 がんは、食道 にできるがんで、食べ物が飲みこみにくくなったり、声がかすれたりする症状(しょうじょう)が出て、放っておくと死にいたります。食道 がんになる危険度が高くなるのは40歳代後半以降で、飲酒・喫煙(きつえん)をする人は、食道 がんになる危険度が高いことがわかっています。また、男性は女性より5倍以上食道 がんになる危険度が高いことが、これまでにわかっています。


食習慣と食道がんの関係を調べる

厚生労働省研究班による「多目 的コホート 研究」では、1995年と1998年に食事や運動などに関するアンケート調査を行いました。その内容は、牛ステーキ、さけ・ます、にんじん、みかんなど138の食品について、どれくらいよく食べているかといった質問のほか、飲酒・喫煙の量、1日に体を動かす時間など、生活習慣全般(ぜんぱん)にわたっています。その後、アンケートを行った中の45〜74歳の男性約3万9000人について、食道 がんになったかを2004年まで追跡調査 (ついせきちょうさ)しました。その追跡調査 の結果を分析(ぶんせき)して、食習慣と食道 がんの関係を調べました。

図2:野菜・果物を食べる量と、食道がんになる危険度の関係。食べる量で、低(少ない)、中(ふつう)、高(多い)の3グループに分ける。低のグループの食道がんになる危険度を1とすると、高のグループの危険度は0.52と約半分になっていた。 *クリックすると大きくなります。

野菜・果物を多く食べると、食道がんになる危険度が低くなることを確認

研究班で今回の分析などにたずさわった国立がんセンターがん予防・検診研究センターの山地太樹(やまじたいき)先生らは、このアンケートをもとに、1日に食べる野菜・果物の量を計算し、その量によって、低(少ない)、中(ふつう)、高(多い)という3グループに分けました。そして、それぞれのグループごとに、食道 がんになる危険度を比べました。結果は、低のグループの危険度を1としたとき、中のグループは0.85、高のグループは0.52となりました。野菜・果物を多く食べているほど食道 がんになる危険度が低くなることが確認できたのです(図2)。




キャベツやダイコンを食べると、食道がんになる危険度が特に低くなることも確認

野菜・果物の種類をさらに細かく分けて分析すると、おもしろいことがわかりました。キャベツやダイコン、コマツナなどの野菜では、よく食べる人で食道 がんになる危険度が特に低くなっているのがはっきりと示されたのです。これらの野菜は、十字花科(じゅうじばなか)(アブラナ科ともいう)というグループです。十字花科の野菜に共通するのは、イソチオシアネートという成分を多くふくむことです。別の研究で、イソチオシアネートには、がんになるのをおさえるはたらきがあることが知られています。山地先生は、「今回の分析では、イソチオシアネートが食道 がんをおさえているとまでは言い切れませんが、その可能性が示されました」と言います。十字花科の野菜を、よくかんだり細かくきざんだりすると、効果的にイソチオシアネートをとることができるといわれています。キャベツやダイコンなどを食べるときは、意識してみるのもよいかもしれませんね。

図3:野菜・果物を食べる量、飲酒・喫煙、食道がんになる危険度の関係。野菜・果物を食べる量が低・中で、飲酒2合未満・喫煙なしの人の危険度を1とすると(左の赤い棒)、飲酒2合以上・喫煙ありの人は、7.67倍の危険度がある(右の赤い棒)。飲酒2合以上・喫煙ありの人は、野菜・果物を食べる量が高でも、食道がんの危険度は2.86倍と高い(右の青い棒)。 *クリックすると大きくなります。

野菜・果物を多く食べ、飲酒・喫煙をしなければ、食道がんの一番の予防策

さて、今回の分析で、野菜・果物を多く食べると、食道 がんになる危険度が低くなることがわかりました。しかし、食道 がんになる危険度を高くする飲酒・喫煙の影響(えいきょう)を無視することはできません。1日2合(360ml)以上の飲酒習慣・喫煙習慣のある人は、どちらの習慣もない人に比べ、「野菜・果物を食べる量が低(少ない)・中(ふつう)」だと食道 がんにかかる危険度が7.67倍、「野菜・果物を食べる量が高(多い)」だとそれより下がるものの、まだ2.86倍でした(図3)。食道 がんについていうと、野菜・果物を多く食べ、飲酒・喫煙をしないことが、一番の予防策(よぼうさく)といえます。




写真2:野菜・果物を食べる量と、食道がんになる危険度の関係を分析した研究班の山地太樹先生。 *クリックすると大きくなります。

ふだんから野菜を多く食べましょう、山地先生からのメッセージ

「食道 がんの予防という点からは、ふだんから野菜・果物を多く食べるように意識するとよいでしょう。野菜・果物は、食道 がんだけでなく、さまざまな病気を予防することがわかっています。子どものころから、野菜・果物を多く食べましょう。飲酒・喫煙は未成年者には禁止されていますから、子どもは絶対にしていけないことは言うまでもありませんが、おとなになってからも、飲酒・喫煙が食道 がんなどの病気になる危険度を高めることを、おぼえておいてほしいですね」(写真2)

子どものうちから食習慣をはじめとした生活習慣に気を配り、健康な体を保っていきたいものです。


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