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世界で初めて!生まれたばかりのシーラカンスを発見
2010年01月04日 滝田よしひろ
2009年秋にインドネシアで「生きた化石 」と呼ばれているめずらしい魚・シーラカンスの調査を行った水 族館「アクアマリン ふくしま」(福島県いわき市)は、世界で初めて、まだ生まれてまもないシーラカンスの稚魚(ちぎょ)の撮影に成功しました。
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| 岩場の小さなすき間で発見されたシーラカンスの稚魚。水中カメラロボットのレーザービーム(2本のタテの線。間隔は20cm)ではかった体長は31.5cm。写真提供:アクアマリンふくしま(ふくしま海洋科学館) |
「生きた化石」と呼ばれるシーラカンス
シーラカンスは、恐竜
たちの時代よりもっと古い約3億8000万年前に地球上にあらわれた古代魚(こだいぎょ)です。化石
などの調査から、かつては約8000万年前に絶滅
(ぜつめつ)したと考えられていました。ところが、20世紀半ばからアフリカ大陸の東岸や東南アジアのインドネシアで、化石
とほぼ同じ姿のシーラカンスが見つかったというニュースが次々と聞かれるようになりました。シーラカンスが「生きた化石
」として、今もひっそりと深い海で生き続けていることが分かったのです。
シーラカンスは、今日見られる魚とちがう特徴(とくちょう)をたくさん持っています。いちばん注目
されているのは、胸びれ・腹びれ・尻びれ・尾に近い背びれに、軟骨
(なんこつ)と筋肉
(きんにく)でできた「柄(え)」があることです(上の写真でも、尻びれのつけねに身体からのびる足のような部分が見えます。これが「柄」です)。「肉鰭(にくき)」とも呼ばれていますが、これが生物の進化
のなかで、陸上動物の手足に発達したのではないかと考えられています。つまり、シーラカンスは魚類
から両生類
への進化
の途中にとどまっている生物かもしれないのです。
初めて見つかったシーラカンスの稚魚
福島県いわき市にある水 族館「アクアマリン ふくしま」の調査チームは、2009年10月 6日に、水 中カメラロボット を使った調査で、生まれてまもないと思われるシーラカンスの稚魚を世界で初めて撮影しました。それが上の写真です。場所は、インドネシア北スラウェシ州のマナド湾。深さ161mの岩の小さな割れ目 のなかにかくれるように泳いでいるところをカメラがとらえました。調査チームは、これまでに何度もシーラカンスの撮影に成功していますが、大きさはどれも1mを越える大きく成長したものばかりでした。ところが、今回見つかったものは体長がわずか31.5cm。これまでの研究から、シーラカンスは体のなかで卵 をかえして親と同じかたちの子どもを産む「卵 胎生 (らんたいせい)」であり、30~40cmほどの子どもを産むことが予想されていましたが、実際にどのくらいの大きさの稚魚が生まれ、どこで育つのかはまったく分かっていませんでした。今回の調査に参加し、水 中カメラロボット を操縦して撮影に成功した「アクアマリン ふくしま」の岩田雅光さんは、「初めての発見で、くわしいことは何も分かりませんが、生まれてまだそれほどたっていない稚魚だろうと 思います。今回の発見から、シーラカンスは通常の生息 環境(せいそくかんきょう)で出産し、稚魚は成魚と同じように日中は岩のすき間などにかくれてくらしていると考えられます」と話します。
調査は大成功
今回の約1カ月
間の調査では、6匹ものシーラカンスが体を寄せ合うようにして同じ場所にいるところも発見されています。北スラウェシ州タリセイ島北部の深さ146mの岩のくぼみで撮影されました。「アフリカでは10匹の群れが撮影されたことはありますが、インドネシアではこれほどの数が一度に撮影された例はありません。見つけたときは、とにかく驚きました。最初はほかの魚かと思ったくらいです」と岩田さん。
「アクアマリン
ふくしま」では、2000年の開館時からシーラカンスの研究・調査に取り組んでいます。水
族館では、シーラカンスの標本(ひょうほん)の展示なども行い、インドネシアやアフリカでの現地調査も、2005年から毎年行っています。「まだまだ分からないことばかりですが、2009年の調査ではとても大きな成果をあげることができました。これからもフィールド観察調査を続けて、シーラカンスの生活や行動を明らかにしていきたいですね」と岩田さん。さらに「まだ遠い先のことですが、いつかシーラカンスを水
族館で飼育して、泳ぐ姿をみなさんに見てもらえる日がく
るといいんですけどね」といいます。生きたシーラカンスを飼育・展示している水
族館は、世界中さがしても、まだどこにもありません。3億年以上の年月
を越えて生き続けてきたシーラカンスの泳ぐ姿を、「アクアマリン
ふくしま」の水
槽で見られる日が早く来てほしいですね。
■アクアマリン
ふくしま(ふくしま海洋科学館)
URL
:http://www.marine.fks.ed.jp
■関連記事「生きた化石
・シーラカンスを解剖」
http://www.kagakunavi.jp/topic/show/30



