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海底にも広がる地震観測のネットワーク
2010年02月01日 滝田よしひろ
地震 を観測する装置(そうち)は、そのほとんどが陸上に置かれています。しかし、地震 は陸だけでなく海の底でも発生 します。そうした海で起きる地震 をくわしく調べるため、海洋研究開発機構(かいようけん きゅうかいはつきこう)という研究機関によって、海底で地震 観測を行うための海底ネットワークシステムづくりが、いよいよ始まりました。
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| DONETによってつくられる、海底観測ネットワークのイメージ。 画像提供:海洋研究開発機構 |
世界の地震の約1割が日本周辺で起きている
地震 は、どうして起きるのでしょうか。地球の表面は、プレート と呼ばれる十数枚のかたい岩石の層でおおわれています。ジグソーパズルのようにしきつめられたプレート は、それぞれ年間に数センチから十数センチの速さ で動いているため、プレート 同士の境目 (さかいめ)では、おたがいに押し合ったり、潜り込んだりしながら、大きな力 がかかっています。この力 が地震 を引き起こすエネルギー です。地面の下の岩石がこの力 にたえられなくなったとき、断層 (だんそう)と呼ばれる面で、岩石がずれるようにこわれ、地震 が起きます。同じようなことが、海底でもおきています。特に、日本の周辺には4枚ものプレート があり、互いに押し合いへし合いしているため、日本とその周辺では、数多くの地震 が発生 します。気象庁 のデータによると、マグニチュード (M)5.0以上の地震 が、平均すると1年間に百数十回、M3.0以上の地震 は5,000回以上も起きています。世界で起きている地震 の約1割が、この小さな日本で起きているといわれています。
海の底は地震観測の空白地帯
世界でも有数の“地震
多発国”である日本は、大きな被害(ひがい)をもたらした1995年の兵庫県南部地震
(阪神・淡路大震災 M7.3)ののち、地震
観測体制の整備や地震
研究にとても力
を入れてきました。日本全土には、現在4,000カ所以上もの震度
観測点がおかれています。また、とても小さな地震
まで観測できる高感度地震
観測網(こうかんどじしんかんそくもう)の整備や、GPS
(全地球測位システム)を使って地面のゆがみや変形をとらえる仕組みなども整備されています。しかし、これらはすべて陸上の話で、海のなかで、海底下でおきる地震
をくわしく調べる観測システムは、ほとんどありませんでした。
しかし、日本周辺の海底には、プレート
同士が接し、巨大な地震
が数多く起きている日本海溝
や南海トラフなどの「プレート
沈み込み帯」と呼ばれる場所が広がっています。“巨大地震
の巣”とも言われているこうした海底が、これまで地震
観測の空白地帯になっていたのです。この「プレート
沈み込み帯」で起きる地震
は、ときに津波
(つなみ)を起こすことがあり、地震
のゆれによるものだけでなく、沿岸地域にとても大きな被害をもたらすこともあります。
海底に地震観測ネットワークをつくる取り組み
そんな地震
観測の空白地帯に、観測網(かんそくもう)をつくる取り組みが、いよいよ始まりました。深海
調査や海洋観測などで知られる海洋研究開発機構が、紀伊半島沖の熊野灘という海域に、地震
と津波
の観測を行うための海底ネットワークシステムをつくり始めたのです。
「地震
・津波
観測監視(かんし)システム(DONET ドゥーネット)」と名付けられたこのプロジェクトは、過去に何度も巨大地震
・津波
を起こしてきた南海トラフに、海底ケーブル網をつくり、そこに海底下でおきる地震
や津波
を観測するためのいくつものセンサー(地震
計など)をつなぐというものです。観測データは、海底ケーブルを通してただちに陸上に送られます。こうして、海底下で起きる地震
や、津波
を早期にとらえることができます。そのデータは地震
がおきるしくみを明らかにする研究や、地震
や津波
の被害を減らしたりする取り組みなどに役立てられます。
2010年1月
に、海底ケーブルをしく作業が始まり、3月
には一部の観測装置がつながれる予定です。そして、その後も海底の観測網を広げていく計画が進められます。
「DONETのネットワークが充実すれば、そこで海底の地殻(ちかく)がどのように活動しているかが明らかになるでしょう。最新の観測データをただちに手に入れることで、海底下で起きる地震
や津波
の予測の研究を進め、予測のレベル
を高めていくこともできます」と、海洋研究開発機構でこのプロジェクトのリーダーを務める金
田義行さんは話します。
DONETが進められている海域は、近い将来巨大な地震
が発生
することが高い確率で予測されている場所です。観測や研究が進むことで、大きな成果が得られることが期待されています。



