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学校ビオトープで地域の自然をみつめる

2010年03月29日    滝田よしひろ

2010年2月 13日に、「全国学校ビオトープ ・コンクール2009」(日本生態系 協会〈にほんせいたいけいきょうかい〉主催〈しゅさい〉)の発表会が行われました。全国から139校(園)の応募があり、そのなかから上位5賞に輝いた5校(園)の児童・生徒や先生たちが、学校内につくったビオトープ で自然とふれあう取り組みについて発表しました。

東海市立船島小学校(国土交通大臣賞受賞)。学校ビオトープでの生きもの調査の様子。

学校ビオトープで学ぶ自然のしくみ

「ビオトープ (Biotop)」とは、ギリシャ語で「生きもの」を意味する「ビオス(Bios)」と「場所」を意味する「トポス(Topos)」という言葉 を組み合わせて、ドイツで生まれた言葉 です。「地域の野生の生きものが、自然のままでくらせる場所」を意味します。つまり、私たちのまわりにもある森や林、草地、池や川などがビオトープ です。そこでは、たくさんの植物や動物が、お互いに食べたり食べられたりしながら、バランスを保って生きています。

岡崎市立秦梨小学校(環境大臣賞受賞)。アサギマダラを観察する子どもたち。

最近は身近な自然がどんどん失われ、生きものが豊かにくらせる場所が減りつつあります。そこで、学校の校庭などに失われた自然を取りもどすような場所をつくり、自然の生きものたちに利用してもらおうとする取り組みが行われています。これが「学校ビオトープ 」です。やってきた生きものを観察したり、自分たちで手入れをしたりすることで、自然の不思議さやおもしろさ、人と自然のつながり、共に生きることの大切さなどを、体験しながら学ぶ場所でもあります。

三田市立武庫小学校(文部科学大臣賞受賞)。学校の中庭の池で調査をする子どもたち。

自然保護(しぜんほご)や、ビオトープ の大切さについて多くの人たちに知ってもらおうと活動している日本生態系 協会によると、日本全国で学校ビオトープ をつくっている学校はおよそ1,800校あるそうです。「生きもののために良かれと思っている活動の中にはかんちがいしてしまっている取り組みもあるようです」と話すのは同協会の服部仁美さん。「緑を増やそうとコスモス(もともとメキシコの植物)を生やしたり、生きものを増やそうと金 魚を放(はな)したりするのはビオトープ の取り組みとは違います。地域本来の自然をお手本にし、地域の自然の生きものたちのために、ビオトープ をつくることが大切です。また、池をつくることだけが学校ビオトープ ではありません。雑木林や草地、水 辺など、地域によっていろいろなタイプのビオトープ があってよいのです」といいます。日本生態系 協会が1999年に全国学校ビオトープ ・コンクールをはじめたのも、全国各地で行われているいろいろな学校ビオトープ のすぐれた事例を紹介して、つくり方や活用方法を多くの学校に理解してもらい、学校ビオトープ の輪を広げていくためでした。

人や地域をつなぐ学校ビオトープ

6回目 を迎(むか)えた今回のコンクールで、上位5賞に輝いたのは、兵庫県・三田(さんだ)市立武庫(むこ)小学校、愛知県・岡崎市立秦梨(はだなし)小学校、愛知県・東海市立船島(ふなじま)小学校、福岡県・福岡市立壱岐(いき)保育所、千葉 県・千葉 県立船橋芝山(ふなばししばやま)高等学校でした。

全国学校ビオトープ・コンクール発表会で、活動について説明する秦梨小の子どもたち。

武庫小学校では、中庭のコンクリートの池を地域の魚がく らしやすいように、自然の池に近づけることから活動が始まったそうです。秦梨小学校は、学校に近い里山 と校内につくった池での自然観察や管理(かんり)作業を通して、自然への理解を深めようと取り組んでいます。船島小学校では、学校のまわりを一周するようにビオトープ が配置(はいち)されており、この地域の昭和50年代の豊かな自然を取りもどすことを目 標(もくひょう)にしています。3つの小学校に共通しているのは、学校だけでなく地域の人たちとのネットワークを大切にしながら活動を行っていること、さらに自然を理解したり、興味を深めたりするだけでなく、学校ビオトープ を幅広い学習活動に積極的(せっきょくてき)に利用していることでした。

全国学校ビオトープ・コンクール発表会で壇上に上がった船島小の代表者たち。

船島小学校の大岡栄喜教頭先生は、今回の受賞について「賞をいただいたことで、ますます子どもたちもやる気になっています」と話します。2005年から取り組み始めた学校ビオトープ について、「最初は、子どもたちに興味を持ってもらうために、フナビオ、ビオゾーというキャラクターをつくったりもしました。また、学校ビオトープ の案内や説明ができるように『フナビオ検定』の試験を行ったり、積極的に参加する子どもには『フナビオレンジャー』の資格をあたえるなど、いろいろな取り組みで子どもたちの参加をうながしてきました。今では、子どもたちの自然への関心も高まり、ウシガエルなどの外来種 (がいらいしゅ)の取り除きについて話し合うなど、自然を見る目 も育ってきました。また、ビオトープ は子どもたちにとってもじまんできる場所になっていると思います」といいます。

発表会会場では、金賞・銀賞受賞校のポスター展示も行われた。

服部さんは、学校ビオトープ に取り組むときの大切なポイントについて、次の6つをあげます。「①地域の自然をお手本にして、野生の生きものがく らしやすいように工夫しているか。②子どもたちが中心になって積極的に取り組んでいるか。③保護者や地域住民、市民グループなどとしっかり連携(れんけい)しているか。④さまざまな教科や活動のなかで、学校ビオトープ を教材(きょうざい)として活用しているか。⑤整備した後も、管理や活動をずっと続けていく体制ができているか。⑥学校内だけでなく、地域に向けて人と自然のつながりを広げていく視点(してん)をもっているか。学校ビオトープ をうまく進めていくには、こうした点に気をつけてほしいですね」

今年10月 に愛知県で、生物の多様性(たようせい)を守るために世界の国が集まって「COP10(コップテン:生物多様性 条約第10回締約国会議)」が行われます。生きものと環境が話題になっている今、みなさんの学校でも、ビオトープ に挑戦してみませんか。


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