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歩くだけで発電できる技術を開発
2010年04月26日 滝田よしひろ
日本電信電話株式会社(NTT)の環境エネルギー 研究所で、専用のシューズをはいて歩くだけで発電し、外出時でも携帯(けいたい)電話の充電(じゅうでん)ができる「歩行発電」技術の開発が進められています。そのユニークな“発電シューズ”の仕組みを紹介します。
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| 歩行発電シューズの試作機。発電した電力でLEDライトが光っている。 |
電力が暮らしに欠かせない時代
みなさんの身の回りには、たくさんの電気器具がありますよね。電気は私たちの暮らしに欠かせないエネルギー です。家のなかだけではありません。外でも携帯電話で話をしたり、音楽をきいたり、パソコンを使ったりしている人もいます。最近は、電動アシスト自転 車や電気自動車 の話題もよく聞かれるようになりました。しかし、外にはコンセントがないので、電池 や二次電池 (充電池 〈じゅうでんち〉)を使わなければなりません。近年、小さくて長持ちする電池 の開発が進んでいますが、それでも電池 が切れてしまえば、どんなに便利な道具も使いものになりません。
NTT環境エネルギー 研究所のエネルギー 蓄積変換(ちくせきへんかん)システムグループでは、携帯電話などの情報通信機器 (じょうほうつうしんきき)に、いつでもどこでも電力 を送ることができる技術や方法について研究開発を行っています。たとえば、コンセントにつながなくてもワイヤレスで充電できる方法をはじめ、人間の動作や太陽 光などで発電した電気で充電する方法もそのひとつです。そして、同グループの鳥海陽平さんが取り組んでいるのが、歩くだけで発電できる「歩行発電」技術です。いいかえれば、人間の運動エネルギー を電気エネルギー に変える技術です。
シューズは小さな水力発電所
上の写真が、鳥海さんが試験(しけん )的につくった“発電シューズ”です。歩くことで発電し、その電力 でシューズに付けたLED(発光ダイオード )が光っているのが分かります。よく見ると、シューズの底からチューブが出ていて、小さな四角いケース(5×5×3cmほどの大きさ)につながっています。実はこれが発電機 なのです。
その仕組みは次の通りです。シューズの底、つま先とかかとの部分に押すとつぶれるソフトタンクがあり、そこに水 が入っています。歩く動作でこの2つのタンクが順番に踏みつけられると、なかの水 がチューブを通って、後ろから前へ、前から後ろへと移動します。そのときの水 の流れの圧力 で、四角いケースのなかのタービン(水 車や風車のように、水 や空気 の流れや圧力 を受けて運動エネルギー を回転運動の機械的なエネルギー に変える)が回転し、同じケースのなかの発電機 (導線を巻いたコイル に磁石 を出し入れすると電気が発生 する仕組みを利用して、機械エネルギー を電気エネルギー に変える)を動かして発電します。「つまり、水力発電 所をものすごく小さくして、靴(くつ)に取り付けたものと考えてください。発電しても二酸化炭素 を出さないので、環境にもやさしいエネルギー です」と鳥海さんは話します。現在、このシューズで、平均0.8W(ワット )の発電量が得られています。これは携帯電話の通話時と同じくらいの電力 なのだそうです。
「ただ、これで携帯電話の充電池 をカラッポから満タンにしようとすると、大人でも3時間くらい歩いてもらわないといけません。1時間程度で満タンにするために、2倍から3倍に発電能力 を高めていきたい。ケース(発電用タービン)をもっと大きくすれば、発電量も大きくできるのですが、それでは歩くのにじゃまになってしまいますからね。できるだけ小さくして、発電能力 を高める、そのための課題がまだたくさんあります」と鳥海さん。「でも、やればできる、不可能ではないと信じています。一度やり始めたら絶対にあきらめない、それが私の取り組み方なんです」といいます。
実現すれば便利な靴がいろいろできる
今後は発電技術の改良とともに、シューズメーカーにも協力 してもらうなどで、「歩行発電の可能性を広げていきたい」といいます。もし、この発電シューズが実用化されたら、携帯電話のバッテリー切れを心配しなくていいだけでなく、音楽プレーヤーやデジタルカメラ の充電などにも使えるでしょう。さらに、GPS (全地球測位システム)を内蔵(ないぞう)していつでも自分の位置がわかる靴、LEDライトで夜道を明るくてらす靴、ヒーター内蔵で寒い日に足先を暖める靴など、いろいろなユニークな靴も開発できます。そうそう、歩くことで電力 がたまれば、ウォーキングをする人も増えて、健康増進(けん こうぞうしん)にも役立つかもしれませんね。


