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今週のトピックス

ガソリン車を電気自動車に改造(かいぞう)

2010年07月12日    滝田よしひろ

2010年春、大手自動車メーカーが電気自動車 の個人向け販売を開始し、いよいよガソリン 車から電気自動車 の時代に向かいつつあることが実感できるようになりました。そんななか、「新車の普及を待っていられない」と、中古のガソリン 車を電気自動車 に改造する技術を広げていこうとする動きが始まっています。

部品の数も少ないため、電気自動車への改造はけして難しくない。画像提供: 村沢義久

電気自動車はとってもシンプル

「電気自動車 の仕組みは、簡単にいってしまえば、ラジコンやプラモデルのクルマと違いはありません。モーター をバッテリー(電池 )につなぎ さえすれば、クルマを走らせることができます」と話すのは、東京大学総長室アドバイザーの村沢義久さん。村沢さんらは、現在、「日本スモールハンドレッド協会」を設立し、車両整備工場やガソリン スタンドを拠点(きょてん)に、ガソリン 車を電気自動車 に改造する新しい事業を普及(ふきゅう)させていこうとしています。

電気自動車 は、実はエンジンを積んだガソリン 車より、構造が単純(たんじゅん)です。「ガソリン 車は、一般に3万点の部品でつくられていますが、電気自動車 はそのおよそ3分の1、簡単につくろうとすれば、10分の1ほどの部品点数でつくることができます」と村沢さんは話します。海外では、すでに自動車メーカー以外の企業が、新たに電気自動車 を開発し、販売していますが、その理由のひとつは、構造がシンプルで、むずかしいエンジン開発技術が必要ないからでもあります。村沢さんたちが行う改造も、とても簡単です。ガソリン 車のエンジンや燃料タンクなどを取り外し、代わりにモーター やスピードコントローラーなどの基本部品を固定して、クルマの後部座席付近にバッテリーを積み、後は配線すれば、ほぼ完成です。モーター などの基本部品はすでに開発されていて、それらをクルマに固定するための金 具類を用意するだけです。作業に必要なものも、重たい部品を吊りあげる簡単なクレーンと工具類のほかに、特に必要なものはないそうです。「中古のガソリン 車を電気自動車 に改造するための技術は、すでによいものができています。何も難しいことはありません。今は、より性能の優れたものを低価格でつくるための研究と開発が進められています」と村沢さんはいいます。

改造電気自動車のボンネット内部。画像提供: 株式会社埼玉富士

現在、村沢さんらが改造の対象にしているのは、主に中古の軽自動車。一般的に普及している (なまり)バッテリーを積んだ改造電気自動車 の性能は、最高時速60キロ、1回の充電(じゅうでん)で約40km走ることができます。さらに、鉛 バッテリーよりも高性能のリチウムイオン 電池 を使用すれば、重量も半分の約100kgにおさえられ、最高時速80キロ、1回の充電で80km走ることができるといいます。「遠くへドライブに行くのはむずかしいですが、近くのショッピングセンターに買い物に出かけたりするには十分です」と村沢さんはいいます。

ガソリン車を改造した電気自動車。その数はまだ少ないが、技術が普及すれば年間100万台の改造も夢ではないという。画像提供: 村沢義久

電気自動車の普及で二酸化炭素削減(さくげん)

中古車の電気自動車 への改造費は、鉛 バッテリーの場合が約100万円、リチウムイオン 電池 を使うと約160万円かかります。それでも、この春に大手自動車メーカーが発売した電気自動車 の価格は、補助(ほじょ)金 を受けても約300万円するので、「電気自動車 を普及させていくためには、中古車を改造した電気自動車 を増やしていくことが、絶対に必要です」と村沢さんはいいます。

現在、日本で走っている車の数は、約7,500万台。そのうち電気自動車 は、まだわずか1,500台ほどでしかありません。大手自動車メーカーが電気自動車 の販売を開始したことで、2年後には、7万台以上に増えると予測されています。「しかし、それでもガソリン 車の数に比べれば、ごくわずかです。このまま新車の電気自動車 の普及を待つのでなく、値段の安い中古車の改造で電気自動車 の普及を進めていくことが、地球温暖化 の原因となっている二酸化炭素 の削減のためにも重要だと思います。さらに、中古車を再利用すれば、資源の有効活用にもなります。中古車の販売台数は年間500万台以上といわれていますから、このうちの100万台を改造して電気自動車 にできれば、電気自動車 の普及はとても早く進みますし、大手メーカーだけに頼らない、新しい産業を生み出すことにもつながります」と村沢さん。

改造電気自動車の普及活動に力を注ぐ、東京大学総長室アドバイザーの村沢義久さん。

現在、電気自動車 の利用に向けて、少しずつ充電器を各地に配備する動きも広がろうと しています。これにより、ガソリン スタンドでガソリン を給油するように、電気自動車 に電気を充電することができ、電気自動車 の走行範囲を広げることができます。中古車の改造によって電気自動車 の数がどんどん増えれば、こうした施設の普及もさらに進むはずです。

クルマ社会が進んだ日本では、石油 の約4割がクルマに使われているといわれています。今後、中古のガソリン 車を手軽に改造して電気自動車 に生まれ変わらせる仕組みが広がれば、二酸化炭素 削減に向けて大きな効果を生み出すことになるに違いありません。

追加情報 (2010年7月15日)

取材にご協力 いただきました東京大学・村沢義久 総長室アドバイザーより、
「東京都内の会社が、ガソリン 車を電気自動車 に改造する事業を本格的に開始しました」と
連絡がありました。
この会社は、国内で初めて月 産15台という規模で量産を行う予定なのだそうです。
電気自動車 の普及を進めていくための新しい取り組みが、いよいよ本格的に動き出しました。


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