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沖縄・久米島(くめじま)の海で見つかったサンゴ大群集
2010年07月26日 滝田よしひろ
世界自然保護基金 (WWF)ジャパンの調査によって、沖縄県・久米島の南東海域に大規模なサンゴ 群集があることが確認されました。このサンゴ 群集は、水 深15~35mと比較的深い場所に広がっており、これまで見つかっている同様のサンゴ 群集のなかでは、日本最大級といわれています。
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| 久米島南東部の深い海で見つかったサンゴの大群集。画像提供:横井謙典 |
深いところにもあったサンゴ大群集
沖縄本島の西方沖約100kmにある久米島は、ラムサール条約
(注1)に登録された渓流・湿地があり、島内にしか棲息(せいそく)しないクメジマボタルやキクザトサワヘビといった生き物がいるなど、豊かで多様な自然がある島です。サンゴ
でできたまっ白い砂浜が海にのびる砂洲(さす)・ハテの浜やイーフビーチなど、美しい海辺が広がっていることでも知られます。WWFジャパンは、2009年から久米島の自然環境の調査を行い、この島の素晴らしさを再発見し、地域の人々とともに環境保全や地域活性化(ちいきかっせいか)の活動を進めていく「久米島応援プロジェクト」を行っています。この調査のなかで新たに確認されたのが、久米島の南東部の沖合い3~4kmに広がる、サンゴ
の大群集でした。
WWFジャパンは、2010年4~5月
、7月
に2回の調査を実施し、このサンゴ
群集が水
深15~35mの海底、幅200m以上、長さ約1,200mという広い範囲に分布していることを明らかにしました。その多くは枝状(えだじょう)のミドリイシ属(ぞく)のサンゴ
で、非常に高い密度
(みつど)で海底をおおっている様子が観察されています。ほかにも、複数(ふくすう)種のサンゴ
が確認されており、現在、その種類を調べるためのくわしい分析が行われています。
画像 提供:WWFジャパン 久米島応援プロジェクト
沖縄の豊かな海を育むサンゴ
海底に定着し、枝状、テーブル状、かたまり状などに石灰
質の骨格
を発達させるサンゴ
(造礁〈ぞうしょう〉サンゴ
)は、植物のようにも見えますが、クラゲやイソギンチャクと同じ刺胞(しほう)動物の仲間です。たくさんの個体が集まって群体(ぐんたい)を形成しながら、骨格
を大きく成長させていきます。骨格
のなかのひとつひとつのサンゴ
(ポリプ)は、触手で小さなプランクトンをとらえて食べますが、さらに褐虫藻(かっちゅうそう)という光合成
を行う藻類
(そうるい)を体内に取り込んで共生
し、栄養を得ています。造礁サンゴ
が比較的浅い海で多く見られるのは、光合成
に太陽
光が必要だからです。今回、久米島の深い場所で確認されたミドリイシも、そうした造礁サンゴ
の仲間です。「これまで沖縄のサンゴ
の研究は、主に浅い場所で行われてきました。浅いところにあるサンゴ
群集は、多くの生物を支える重要な場所といわれていますが、今回確認されたような深い場所にある造礁サンゴ
の群集については、どのようにして成立したのか、またどのように保たれているのか、どんな生物が集まってくるのかなどに関する調査や研究は、まだあまり行われていません。その意味からも、今回見つかったサンゴ
群集の学術的な価値は、とても高いといえるでしょう」とWWFジャパン・自然保護室主任の安村茂樹さんは話します。
近年、沖縄のサンゴ
は、河川から流れ出す赤土や、サンゴ
を食べるオニヒトデの大発生
、さらには、海水
温の上昇などによって体内の褐虫藻が逃げ出して死んでしまう白化現象(はっかげんしょう)などの影響で、非常に危機(きき)的な状況にあるといわれています。久米島の海岸近くにある浅い場所のサンゴ
礁も、こうした被害を受けています。とくに、雨
によってサトウキビ畑などから海に流れ出す赤土の影響は、とても大きいといいます。「こうした状況のもとで、湾から少し離れた深い場所に、非常に健康(けん
こう)で、密度
の高いサンゴ
群集が保たれていることは、とても興味深いことです。またこのサンゴ
群集が、周辺海域へサンゴ
の幼生(ようせい)を送っている、つまり供給源(きょうきゅうげん)になっている可能性もあります。その意味では、沖縄のサンゴ
の将来に大きな希望をいだかせてくれます」と安村さん。「今回見つかったサンゴ
群集が、久米島の人々の心を動かし、みんなで力
を合わせて島の宝物であるサンゴ
を守り、育てていくことにつなげてほしい」といいます。
久米島だけでなく、西表島(いりおもてじま)や石垣島(いしがきじま)の周辺にも、こうした深い場所にサンゴ
群集があるのだそうです。地球温暖化
による海水
温の上昇に伴って、サンゴ
の分布地が北上するといわれていますが、それだけでなく、サンゴ
が浅い場所から深い場所へ移行(いこう)していく可能性もあるのかもしれません。今回の発見をきっかけに、沖縄の海で、深い場所のサンゴ
に関する新たな研究が始まることが期待されています。
注1:ラムサール条約
(特に水
鳥の生息
地として国際的に重要な湿地に関する条約)は、動植物、なかでも鳥類
の棲息にとって重要な水
辺の環境を守る目
的でつくられた国際条約。2010年2月
現在で、締約(ていやく
)国は159カ国、登録地は1,886カ所。



