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生きた化石・シーラカンスを解剖
2007年07月16日 橘悠紀(科学ライター)
2007年5月 19日、インドネシア・マナド周辺海域で、「生きた化石 」と呼ばれる珍しい魚・シーラカンスが捕獲され、解剖した結果、腹部から卵 が見つかりました。
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| 発見されることも非常に珍しいシーラカンス(写真は模型)|写真提供:アクアマリンふくしま |
4億年前の姿をとどめる魚
古代魚シーラカンスが地球上に出現したのは約4億年前(デボン紀)。両生類
や昆虫が陸上に進出した時代で、海のなかでは、初期のサメなどの巨大な肉食動物
が栄えていたころです。そして、この古代魚は、約8~7000万年前に絶滅
したと考えられていました。それ以降の地層
から、化石
が途絶えたためです。ところが、1938年、南アフリカ共和国の南東部、カルムナ川の河口沖で、化石
種と外見や構造がよく似た現生種のシーラカンスが発見されました。1990年代末には、アフリカ南東沖から遠く離れたインドネシアのスラウェシ島近海でも捕獲され、2006年には、日本の水
族館「アクアマリン
ふくしま」の調査隊が、ここで自走式水
中カメラによるシーラカンスの水
中撮影に成功しています。
今年、同調査隊は、5月
にインドネシアで捕獲されたシーラカンスの解剖に立ち会いました。そして、解剖されたシーラカンスの腹部に25個の卵
があることが確認されました。
体内で卵を孵す(かえす)シーラカンス
このシーラカンス(体長131cm、体重51kgのメス)は、地元の漁師によって偶然捕獲されたものです。6月
26日に、地元インドネシア・マナドのサムラトランギ大学を中心とした研究チームにより解剖が実施され、その結果、大きさが2~3cmの25個の卵
があることがわかりました。インドネシアでシーラカンスの解剖が行われるのは2例目
で、卵
が確認されたのははじめてのことでした。これまで、化石
やアフリカ近海で捕獲された個体の研究から、シーラカンスは体内で卵
を孵化
(ふか)させて稚魚を産む卵
胎生
*と考えられていました。今回の解剖で、卵
のほかに腹部内で稚魚が育つ輸卵
管も見つかったことから、この説を裏付ける結果になりました。
卵生
の魚類
が大量の卵
を産むのに対して、少量の卵
を胎内で育てるシーラカンスの生き残り戦略を知るためにも、今回の卵
の発見は大きな関心が持たれます。さらに、シーラカンスの繁殖
システムの解明は、卵生
から胎生
への進化
を考える上でも、重要な手がかりとなることが期待されます。
*卵
胎生
:通常、胎生
は産む前に母体から栄養供給が行われるものをさし、卵
胎生
は胎内で卵
を孵化
させるだけのものをさしますが、厳密に区別することが難しいため、最近では区別せずに胎生
と呼ばれるケースもあります。
もっと知りたい人へ
●アクアマリン
ふくしま(プレスリリースに、解剖の様子の画像
も掲載されています) http://www.marine.fks.ed.jp/frame.htm



