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こすればきれいに消せるボールペン
2007年07月30日 橘悠紀(科学ライター)
ボールペンで書き間違えて、きれいに消せなくて困ったという経験はだれにでもあるでしょう。「間違えてもきれいに消せるボールペンがあったら…」、そんな願いをかなえるボールペンが実用化されました。
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| フリクションインキを使ったボールペン。こすったところが消えている。|写真提供:株式会社パイロットコーポレーション |
熱で透明になるインキ
株式会社パイロットコーポレーションは、ペン軸後部のラバーでこするときれいに消すことができる「フリクションインキ」を用いた2種類のペンを、去年末から発売しています。インクが消える秘密は「摩擦熱 」。ラバーでこすることで生じる摩擦 (フリクション)熱 で3種類のマイクロカプセルに含まれる成分の組み合わせが変って、インクが透明になるのです。消しゴムのようにかすを出すこともなく、何度でも書き直しのできるこのペン、実は30年にわたる研究開発の歴史があるのです。
30年の研究開発によって誕生
マイクロカプセルとは、その名の通りごくごく小さなカプセルのことで、なかにインクや香料など封入するために用いられています。「フリクションインキ」は、このマイクロカプセルに、「発色剤」「発色させる成分」「変色温度調節剤」の3つの成分を封じ込めたもので、常温では、「発色剤」と「発色させる成分」が結合して色を出しています。ところがラバーでこすられ、摩擦熱
で65℃以上の温度になると、「変色温度調節剤」が2つの成分の結合を邪魔して、色が消えてしまうのです。つまり、紙の上には見えなくなったインクがのっているということです。
温めると絵が消えて、冷やすと元に戻るシールや、お湯などを入れると色が変わるマグカップなどを見たことはありませんか? 実は、これらも「フリクションインキ」と同じ原理を利用しています。
「当社はマイクロカプセルを使って、温度の変化によって色が変わったり、消えたりするインキを、30年ほど前に開発しました。ただ、その時点では変化した色がすぐにもとの色に戻ってしまうことや、マイクロカプセルが大きいことなどから、筆記具への技術利用ができませんでした」と、同社営業企画部の古謝将史さんは開発にあたってのポイントを語ります。30年前の同種のインクは、一定の温度以上になると色が消えますが、少し温度が下がるとすぐもとに戻るといった具合でした。これでは筆記具として使えません。さらに当時のマイクロカプセルの大きさでは、ペン先からインキが出にくく、なめらかに書くこともできませんでした。
その後、さまざまな研究が重ねられ、「変色温度調節剤」を新たな素材に変えることで、色が出る温度範囲を65~-20℃と広げられたこと、そして、マイクロカプセルを従来の約5分の1まで小さくした結果、筆記具として使用可能な「フリクションインキ」が誕生したのです。古謝さんは「今後もノック式ボールペンや、ペン先が細いペンなど、フリクションインキを利用したより便利な筆記具をつくっていきたい」と、その意気込みを語っています。
●もっと知りたい人へ 株式会社パイロットコーポレーション 「フリクションインキ」 http://www.pilot.co.jp/campaign/frixion/



