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牛のげっぷからメタンを取り除く

2008年02月25日    橘悠紀(科学ライター)

二酸化炭素 の約20倍もの温室効果 があり、地球温暖化 につながるメタン 。メタン は、牛や羊などの家畜が出すげっぷにも多くふくまれています。帯広畜産大学の高橋潤一教授の研究チームは、家畜のげっぷからメタン を取り除く方法を発見しました。

牛のげっぷからメタン発生を抑える仕組み
牛の第一胃を調べるために取り付けられた管。第一胃内を直接観察でき、硝酸塩やシステインの量を測定できる。|提供:帯広畜産大学

メタンを減らし、中毒を解消する酵素の作用を発見

牛や羊、山羊などは、一度胃 に入れた食べ物を再び口にもどし、かみなおして胃 にもどす「反すう」を行います。反すうする動物の胃 は4個あり、一番目 の胃 にいる細菌が、食べた草などを分解 して消化 しやすくしています。しかし、細菌が草を分解 する際にメタン が発生 するため、反すう動物のげっぷにはメタン が含まれます。家畜のげっぷにふくまれるメタン は、世界全体で排出 される温室効果 ガスの約5%にもなるといわれます。

研究チームは、もともと硝酸 塩 という物質を多量に摂取した乳牛の中毒の研究をしていました。化学肥料をたくさん与えられた草は、硝酸 塩 を多く含むようになります。硝酸 塩 そのものは、植物がタンパク質 を作るのに必要な材料で、動物にも有害ではありませんが、硝酸 塩 が体内の細菌によって亜硝酸 塩 に変わると、動物は酸 欠などの中毒を起こします。この中毒を起こした牛のげっぷを調べたところ、メタン の量が少ないことが偶然わかったのです。

羊を用いたメタン測定試験のようす。|提供:帯広畜産大学

それは、次のようなメカニズムで説明できます。硝酸 塩 が亜硝酸 塩 に変わる際には、水素 が使われます。体内に大量の硝酸 塩 があると、それだけ多くの水素 が消費されるわけです。一方で、メタン を発生 させる細菌は、二酸化炭素 と水素 からメタン を作り出しています。ところが、硝酸 塩 から亜硝酸 塩 への変化で水素 が使われたため、メタン を作れなくなるのです。

研究チームは、さらに硝酸 塩 から亜硝酸 塩 への変化を起こす酵素 の働きを抑える物質も発見しました。それは、アミノ酸 の一種のシステインという物質です。牛にシステインを与えると、硝酸 塩 から亜硝酸 塩 への変化が抑えられて中毒が起こらないうえ、げっぷに含まれるメタン の発生 も抑えられることがわかりました。「システインには一石二鳥の効果があり、乳牛に与えても乳の品質に影響がありません」。研究チームの高橋潤一教授は言います。

牛の力 も借りなければならないほど差し迫った地球温暖化 。私たちも、毎日の生活を見直して、温室効果 ガスをできるだけ排出 しない努力 を続けたいですね。


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