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世界初、日本の大学チームがル・マン参戦

2008年03月03日    橘悠紀(科学ライター)

世界最高峰の自動車レース「ル・マン24時間レース」に、世界で初めて大学の研究チームが参戦することが決まりました。参戦するのは、日本の東海大学を中心とするチームで、着々と準備が進められています。

「ル・マン24時間レース」への出走が決まった「TOKAI UNIV./YGK Power」チーム。
産学連携で開発した高性能の「YR40Tエンジン」。提供:東海大学

世界最高峰をめざす学生たち

「ル・マン24時間レース」は、1923年から開催されている歴史あるレースで、毎年6月 にフランスのル・マン市で開催されます。エントリーを希望しても、過去の実績やマシンの性能などが評価されないと参加が許可されません。難関ともいえるこのレースへの参加が決まったのは、東海大学を中心とした「TOKAI UNIVERSITY-YGK Power」チームです。長いレースの歴史のなかでも、大学チームの参戦は初めてです。
チームを指揮するのは、自動車会社のエンジニアから同大学の教授に就任した林義正教授です。林教授は、エンジニア時代の経験から、知識だけではなく、実現能力 を培う教育が必要だと感じ、大学の機械工学の研究の一環として、世界最高峰のレースを目 標にしたのです。
「自動車エンジンの開発過程では、機械工学の4分野、材料力 学、機械力 学、流体力 学、 力 学という4つの力 学すべてを駆使します」と、林教授は語ります。ガソリン が持つエネルギー の効率のよいパワーへの変換、マシンが受ける空気 の流れ、外部からかかる がマシンに与える影響、材質と変形の関係など、エンジン、そしてそれを搭載するマシンを製作するためには、さまざまな研究や実験を積み重ね、課題を克服していかなければなりません。
マシンの開発は、2001年から始まりました。フランスのクラージュ・オレカ社製のシャーシをベースに、エンジンをはじめ、オリジナルのパーツを取り付けていきます。マシンの心臓 部ともいえるエンジンは、産学連携で開発。高出力 と低燃費を両立させ、しかも低コストを実現しました。また、その強力 なエンジンによる走りに耐えられるよう、材料力 学を駆使し、構造解析を行って、強度の高いボディの開発にも力 が注がれました。こうして、他のチームに比べて予算が圧倒的に少ないという条件下にありながら、ル・マンレースに参加できる性能のマシンが開発できたのです。
マシンは、2008年4月 に完成予定で、その後テスト走行を重ねる計画です。林教授は、「今年は完走、来年は入賞、再来年は表彰台をめざします」と、その意気込みを語ります。大学の研究チームが一丸となったマシンの走りに、注目 したいですね。


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