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「お帰りなさい、土井さん」                    シャトル帰還をレポート

2008年04月03日    中島 仁(Jean Nakashima)

国際宇宙ステーション への「きぼう」の建設という任務を無事終えた日本人宇宙 飛行士・土井隆雄さん(53)。スペースシャトル ・エンデバーに搭乗した土井さんの着陸の瞬間を、現地で見守った航空ジャーナリスト・写真家の中島 仁さんからのレポートが届きました。

ⓒJean Nakashima, 2008
いよいよ地球への帰還が近い。宇宙での滞在は16日近くに及んだ。その間、土井さんの操作するスペースシャトルのロボットアームで国際宇宙ステーション へ船内保管室を取り付けた。写真は土井隆雄(左)、リチャード・リネハン(右)両宇宙飛行士
「宇宙航空研究開発機構(JAXA)提供」

エンデバーが地球へ帰る前日、アメリカ合衆国南部テキサス州上空を通過する姿があった。テキサス州は管制センターや訓練施設のあるNASAジョンソンスペースセンター、そして土井さんにとっては天体 観測用の別荘がある第二の故郷、すでに国際宇宙ステーション から切り離されたエンデバーは西日にキラキラ輝きながら仲良くランデブー飛行だ。国際宇宙ステーション には3名の宇宙 飛行士が生活し、エンデバーには7人の宇宙 飛行士が明日の帰還を待っている。夜空に輝く一等星に見えるほど明るい2つの点は温かいぬくもり の色に見えた。 
「どうかこれからも人類が謙虚な気持ちを忘れずに努力 を続けられますように。エンデバーと7人の宇宙 飛行士たちが無事に帰って来れますように」季節は春、南の空に移動したオリオン座 に向かって静かにそう祈った。(3月 25日記)

土井さんのフロリダ州 ケネディースペースセンターへの帰還は翌日の米国東部夏時間3月 26日(水 )午後8時39分(日本時間3月 27日(木)午前9時39分)、地球を回る250回目 の途中で南アメリカからまっすぐにフロリダを目 指して北上するルートだ。深夜2時過ぎの打ち上げも大変だったけど、カメラマンにとって夜間着陸はそれにも増してチャレンジだ。でも、滑走路のすぐ脇に入ることを許されたのはごくひとにぎりの僕たちだけ、大役を果たして帰ってくる7人の宇宙 飛行士に負けないよう最高の写真で「お帰りなさい」を言わなくちゃならない。 

ⓒJean Nakashima, 2008

「ドン、ドーン!」

フロリダの湿った空気 にスペースシャトル からの衝撃波 がとどろく。そう、あと3分で着陸だというのにエンデバーはまだ超音速で飛んでいる。やがて美しい三角翼が作る風切り音だけが猛烈な勢いで近づいてきて、今にも吸い込まれそうなただならぬ雰囲気だ。でも、着陸ランプさえ持たないスペースシャトル は真っ暗闇の中、何も見えない。 

ⓒJean Nakashima, 2008

漆黒の闇に浮かび上がった4500mの滑走路、それはまるでカッコイイ宇宙 飛行士の花道であるかのように16個の強力 なキセノンランプがしっかりと足もとを照らし出す。そう、自動化が進んだスペースシャトル でも最後の数分はパイロット自身の手で人間が操縦するんだ。突然、エンデバーは時速350kmで目 の前におどり出た。「お帰りなさい、土井さん!おつかれさま、エンデバー!!」ケネディースペースセンターはエンデバーの母港、そして宇宙 への夢を持って集まったみんなが待っている地球。祈りにも似た空気 が一瞬なごんだ気がした。

ⓒJean Nakashima, 2008

プロフィール 
中島 仁(なかしま じん) 
1968年2月 生まれ。現在、米国で植物生理学関連の研究所でトップマネージャーとして勤務。一方、Jean Nakashimaの名前で航空ジャーナリスト・写真家としても活躍。活動は官民軍の枠にとらわれる事なく、セスナから熱 気球まで航空のほぼ全ての分野を網羅し、現場におもむいては生の声を聞く取材による作品を発表し続けている。


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