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畳の部屋で集中力がアップ 解答数の平均伸び率は14.4%
2008年04月07日 橘悠紀(科学ライター)
畳(たたみ)は、今から約1300年前の奈良時代から使用されている日本伝統の床材です。その畳に、集中力 を高める効果があることが、実験でわかりました。
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| 畳をしいた教室で、計算問題を解く実験に参加している子どもたち 提供:北九州市立大学森田研究室 |
イグサの可能性を見出すために
和室の床にしかれる畳は、乾燥させたイグサを織って作られます。イグサには独特の香りがありますが、これは、イグサが出すフィトンチッドやバニリン
にふくまれているものです。畳には、これらの香り成分や、黄緑色が安心感を与えること、靴を脱いで上がることで開放感があることなどから、人をリラックスさせる効果があるらしいことがわかっていましたが、科学的に実験されたことはありませんでした。
北九州市立大学准教授の森田 洋先生は、畳をしいた部屋と、しいていない洋室で、学習効果がどのように変わるかという実験を行いました。
森田先生は、以前、熊本県八代(やつしろ)市の学校に勤めていました。八代市は、日本有数のイグサの生産地ですが、建物が洋風化
して和室が減ったことや、イグサが中国から安値で輸入されるようになったことで、イグサの作付け面積や栽培農家が大幅に減っていました。森田先生は、イグサの新しい利用法や可能性を発見し、科学の力
でイグサ農家を活性化させたいと思って、この研究を始めたのです。
実験では、小学5年生と中学1年生の男女323名に、通常の教室と、床に畳をしいた教室で、計算問題を30分間解いてもらい、その解答数や正解率を比べました。その結果、正解率には差はありませんでしたが、平均解答数は通常の教室で129.0問だったのに対し、畳の教室では145.7問と増え、平均の伸び率は14.4%にもなりました。畳の部屋での方が、より多くの問題を解けたのです。
森田先生は、「実験前には畳が持つリラックス効果については説明していませんでした。この結果から、畳の部屋の方が子どもたちがリラックスでき、集中力
が高まることがわかります」と言います。
子どもたちの85%は、ふだん、畳のない部屋で勉強しており、家に畳がない子も12%いました。しかし、実験後、9割の子が「畳の教室がよかった」と言い、その理由として、「足もとに開放感がある」、「リラックスできた」、「香りがいい」、「すずしい」、「静か」などを挙げました。
「数値による結果だけでなく、子どもたちが畳の効果を実感していることに驚きました。今後、畳の色、香り、足もとの開放感など、どの要素が集中力
を高めるのに重要なのか明らかにしていきます。」と、森田先生は引き続き、畳の効果を調べていきたいと語ります。
古くから和室に畳が使われてきたのは、昔の人の知恵のひとつだったのかもしれませんね。
*フィトンチッド:植物が出す物質で、殺菌
性や香り成分をふくむ。



